祝　106棟目　『太平の風井戸』

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祝 106棟目

建てようネットで建てた家

建築家・内野輝明＋島出建築事務所

阿南市T邸［太平の風井戸］

▲春はたばこが、秋には稲穂が揺れる田園の中にあるT邸。
周囲を遮るものがない開放感も気持ち良い。

▲ゆるやかな勾配屋根になっているため、軒先にも美しい登り梁の形状を見て取れる。


▲和室、寝室前には縁側を設置。「ここで飲むビールが最高に美味しいんです」と
Tさんも大満足。


▲居間サイドから望む。完全なるシンメトリーが美しさをより増長させる。


▲書斎＆子ども部屋の窓と天窓とは同じ形状で、同調したテイストがまた端正で美しい。


▲玄関サイドから望む。家を支える4本の柱は外からも見ることができ、
その存在感を感じさせる。

 

忙しい毎日を過ごす

家族のための、

“つながり”を大切にした

「風井戸のいえ」

施主を虜にした、平屋建てという提案

「カフェでもできるん？」

「いやいや、普通の家です」

建築中、道行く人と幾度となくそのようなやり取りを交わしたという施主のTさん。

阿南市ののどかな田園風景の中正方形の中央部が突出した特異な形状の建物を見れば、

確かに誰しもが不思議に思うかもしれません。

しかし、この形状こそ建築家の内野さんが提唱する「風井戸のいえ」の原型。
 

光と風を積極的に取り入れるために

4本の柱に持ち上げられた箱型の越屋根を持たせた平屋建ては、

その提案を受けた段階からTさんご夫婦を魅了しました。

「私たちからの要望はたった2つだけでした。薪ストーブを設置すること。

室内にサンルームを作ること。その条件で何人かの建築家の方と

お話しさせていただきましたが、そんなに予算のない中、

平屋を提案していただいたのは内野さんだけで、その感性にビビッときたんです」とTさん。
 

そもそも、例えばハウスメーカーの営業マンといった“人”への共感ではなく、

“家そのもの”に共感した家づくりをしたいと考えていたTさんご夫婦にとって、

その“ビビッ”こそが大切なものであり、

『建てようネット』に依頼した最大の理由でもありました。

設計とは同時に、家族の生活を

思い浮かべてのもの

前述のように、Tさんからの要望は2つだけ。

加えて、Tさんのご両親がもつ広大な土地に建てるということで、

敷地面積の制限もほとんどない状態でした。

いわば自由な設計が可能な状況でしたが、

内野さんの設計は非常にコンパクトで、キッチンからパントリー、洗面所、サンルーム…と、

ぐるり回れる動線を実現。ご夫婦ともに仕事を持っており、
 

「ゆっくりできるのは日曜日くらい」というご家族のことを思って、

生活のしやすさを念頭に置いた上での設計です。

そして。
 

“つながり”は、子どもの成長を楽しみにさせる

毎日を忙しく過ごすご家族だからこそ、最も重視したのは“家族のつながり”。

開放的な空間が広がる半面、引き戸で仕切ったり建具の向こうへ行けば

プライバシーも保てるという安心感も。
 

「この家で、息子がどうやって成長していくのかすごく楽しみ。

“独立した自分の部屋が欲しい”なんて言い出したら…、

その時はまた内野さんに相談しようかと（笑）」。

四方に開いた風井戸からは絶え間なく光が射し、

風が吹き抜ける。ひとつ屋根の下、

間仕切りを開け放てば一間になるような伝統的な田の字プランで建てられた住まい。

そこには、寄り添って暮らすご家族の笑顔と温かさが満ちていました。
 

▲中央がリビング、左が寝室、右は和室＆子ども部屋。
間仕切りを開け放つと、ひとつに“つながる”空間になる。

▲現在はご主人の書斎、ゆくゆくは息子さんの勉強机として設置された作り付けの机。


▲和室～子ども部屋～納戸も、もちろん“つながる”。

▲鮮やかなトルコブルーの大谷焼でできた洗面器を配した洗面所。

▲夜ともなれば、高く、広く取られた窓から室内の灯りがほのかに浮かび上がらせる。

▲暗くなりがちな北側の玄関も、明かり取りを兼備した玄関戸の設置で清々しい印象に。

▲家の中心に据えられたキッチンは、室内すべてを見渡すことができる、
まさに司令塔とも言うべき場所。

▲風井戸部分を見上げる。38㎝ピッチという計算され尽くした
間隔の登り梁は均整がとれている。

▲実家が所有する山の木を有効利用するために設置された薪ストーブ。
冬にはこれ1台で暖が取れる。

▲ご夫婦の共通の趣味は読書。「山ほどある」という書物を
収納するために、天井まで届く本棚を作りつけた。

▲洗濯物の室内干しもOK！ のサンルームは、
日中ほとんど仕事で外出しているという奥様たっての希望で実現。

▲11月3日、初めての火入れをしたTファミリー。炎に照らされると笑顔もまろやかに。

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T邸間取り


①玄関
②下足室
③本棚
④納戸
⑤こども室
⑥カウンター
⑦和室
⑧縁側
⑨LDK
⑩薪ストーブ
⑪寝室
⑫ウォークインクロゼット
⑬洗面・洗濯
⑭サンルーム
⑮風呂
⑯トイレ

建築データ
■ 家族構成
施主（37歳)、妻（38歳）、子供（2歳）
■ 構造
木造
■ 工法
在来工法
■ 敷地面積
618.91m2（約187坪）
■ 延床面積
合計 101.08m2（約30坪）
1階 101.08m2（約30坪）
■ スケジュール
設計期間 2011年7月～2011年11月
工事期間 2012年1月～2012年5月
■ 設計監理
内野設計
■ 施工
島出建築事務所

Tさんの夢を叶えた建築家  ［建築家］ 内野輝明

設計コンセプト
「中央の四本心柱に持ち上げられた方形の越屋根をもつ
「風井戸」のまわりを一間半巾のドーナツ状の空間がめぐる。
部屋と部屋は建具で間仕切ることができるが、
その建具は不要なときは外部に張り出した戸袋に完全に引込むことがでる。
「風井戸のいえ」の原型、平屋タイプの発展形」