建築家と素敵な家づくり
「この『藍住のいえ』で最も重視したのは、プライバシーの確保と採光の確保でした。敷地のすぐ南側に2階建のアパートが建っているために、開放すれば丸見えになってしまう恐れがあり、かといって閉じてしまえば室内が暗くなる。その問題を解決する策として提案したのが、階段を兼ねた吹き抜けを設置し、窓の位置やサイズを工夫して光や通気を確保する、というものでした」と鳥羽さん。2階の南側の窓は高い位置に取ることで、中と外の目線が合わないように工夫されています。同時に、リビング・居室ともに東側に広く開放することでも明るさを確保。「これぞ“設計の妙”という感じにビックリ。充分明るいし、吹き抜けがあっても蓄熱暖房機を設置してもらったので冬場でも暖かかったですし。何より、外を気にすることなくカーテンなしの生活ができるのが快適で気持ち良いですね」と、奥さんも大満足の家となりました。
「そもそもは、建てようネットの別冊を見ていて、優しい雰囲気というか、自然体な暮らしができそうな鳥羽さんの作品に、ずっと惹かれていました」というNさんご夫婦。約3年前、東日本大震災が発生した時に海の近くに住んでいたことから、「1日でも早く引っ越したい」と居てもたっても居られず、『建てようネット』のドアを叩いたそうです。
「建築家の方に家づくりをお願いしようと思っていたのは、だいたいのニュアンスを伝えればエエ感じに仕上げてくれそう…というか(笑)。ハウスメーカーなどより細かいオーダーに応えてくれそう、というのが大きな理由でした。その点、鳥羽さんは理想通りで、話し合うたびに新しい発見があったりと、とても楽しい家づくりでしたね」(ご主人)。
例えばキッチンを一段低くしたのは、「料理しながらテレビを見たくて(笑)」という奥さんの要望を受けた鳥羽さんの提案によるもの。さらにはキッチンの正面にカウンターテーブルを設置して、目線を合わせるという効果も持たせました。しかし、単に建築家の手腕だけが際立っているわけではありません。鳥羽さん曰く、「ご主人がすごく勉強されていたのが印象的。僕なんかよりずっと…って言ったらプロとしてアレですけど(笑)、そうして強い想いを持ってくれていたので、共に家づくりを楽しむことが出来たかな。」と。外壁にはトタン板風のガルバリウム鋼板を使用しているのですが、これは「倉庫のような雰囲気にしたい」という思いから、ご主人が色々と調べ、探し出してきたもの。こうした共同作業が建築家とのまさに“家づくり”であり、単に“家を買う”というのとは明確な違いと言えるのではないでしょうか。
Nさんの夢を叶えた建築家/建築家・鳥羽知夫
設計コンセプト
「Nさんから頂いた要望の中で印象的だったのは「真新しいというよりは既に住んでいる感じの家」というのがありました。家に合わせた暮らし方を提案するのではなく、自分達の暮らしがそのまますっぽりと入る『器造り』をいつも心掛けています。住み始めてからも、どこか馴染んだ感じで暮らせる為に、今回の藍住のいえでもNさんには大いに設計に参加して頂きました。おかげで、諸条件をまとめるだけでは得られない『住み手らしさ』をうまく取り入れることが出来たように思います」
建築データ
■家族構成
施主、妻、子ども2人
■構造
木造
■工法
在来工法
■敷地面積
330.59㎡(約100.1坪)
■延床面積
合計 143.59㎡(約43.5坪)
1階 90.25㎡(約27.3坪)
2階 53.34㎡(約16.1坪)
■スケジュール
設計期間 2011年11月~2012年11月
工事期間 2012年12月~2013年7月
■設計監理
鳥羽知夫建築設計事務所
■施工
島出建築事務所