建てようネット[徳島]で建てた家

建築家と素敵な家づくり

祝 129棟目 U邸 『北島のいえ』


祝129棟目 建てようネットで建てた家

北島町・U邸

北島のいえ

建築家・鳥羽知夫+島出建築事務所

 

こんなにコンパクトなのに、

開放感いっぱい。

居心地の良さと面積は比例しない

 住まいの広さとは、敷地や延床面積だけで語れるものでは決してない。U邸でしばらく過ごしていると、そんな感情が押し寄せてくる。玄関を一歩入ると、すぐに家族が集うリビングへ。その先はダイニングと一直線につながっていて、1階全体がまるでお洒落な酒場のようだ。

 「仕事のない日は一日中リビングで気持ち良く過ごし、夜は寝るだけ。そんなシンプルな暮らし方をイメージしながら家づくりを行いました」とご主人。自分たちの暮らしに最低限必要な要素だけを残し、できるだけコンパクトな住まいを目指した。考え方の根底には、以前の住環境が大きく関わっている。

 「マンション住まいだった方が新築を建てた場合、どうしても広さに憧れる。逆に僕たちは、広い一軒家に住んでいた時の不満がベースになっているので、他の方々とは視点が違うかもしれません」。

 1階の延床面積は約18坪。リビングも6畳ほどしかない。しかし、図面上の数字だけでは語れない開放感と心地良さを携えているのは、建主の想いを具現化した建築家の功績と言って良いだろう。そして、今回の家づくりを成功に導いたもう一つの大きな要素が、家づくりに込めたUさんの熱意だ。

豊かな暮らしの断片をつなぎあわせる

 「建てようネットでの家づくりは、本当に楽しかった」と声を揃えるご夫婦。実に7名もの建築家と面接を重ね、それぞれのアトリエや建築物件を周りながら最良のパートナーを探し出した。建築を手掛けた鳥羽さんは、建主との家づくりを懐かしそうに振り返る。

 「Uさんは建築のことも詳しいし、本当に楽しかったです 。  最初に要望として話してくれたことは、『明るい家に住みたい』『洗濯は外に干したい』『部屋数は最小限でいい』という今の暮らしの中で改善したい3つのことだけでした。でもその中には、この家の心地よさにつながるもの全てが詰まっていました」。

「北島のいえ」は、南側には建物が隣接するため、光の入れ方は様々な箇所で工夫されている。その一つが東に解放された半外のテラス。田畑が広がる東側に窓を並べ、リビング周りの明るさを確保し、ソファに座ると季節ごとに表情を変える自然風景が心を癒す。軒は深いが素材をガラスにすることで、雨を防ぎながら日当たりを確保し、洗濯物を干すスペースとしても機能する。そんな中間領域をUさんも巧みに利用して、プランター菜園や観葉植物を配置して楽しんでいる。

「子どもが『以前に住んでいた家よりも広くなったね』って。コンパクト だけれど、ここには私たちに必要なものが、すべてが揃っています」とご夫婦も笑顔。建築家と建主の「本気」が化学反応を起こし、洗練された我が家が生まれた。

無垢材の壁と、全体を引き締める黒い屋根のコントラストが印象的な外観。田畑が広がる東側に開口部を多く設け、日中の光や風を屋内へと取り込んでいる。
無垢材の壁と、全体を引き締める黒い屋根のコントラストが印象的な外観。田畑が広がる東側に開口部を多く設け、日中の光や風を屋内へと取り込んでいる。

リビングとダイニングが一体となった空間。奥の壁のレンガタイルが存在感を放つ。床材として用いたカラ松との相性も抜群だ。

リビングとダイニングが一体となった空間。奥の壁のレンガタイルが存在感を放つ。床材として用いたカラ松との相性も抜群だ。

キッチンやテーブル、収納などは、すべて作り付け。床はタイル貼り。トップライトからは明るい光が降り注ぐ。
キッチンやテーブル、収納などは、すべて作り付け。床はタイル貼り。トップライトからは明るい光が降り注ぐ。

ダイニング側からの開放感も抜群。リビングの隣に設けた​3帖の予備室は、洗濯物をたたんだりの家事室だが、今は​子どもの遊び部屋として活用。いつも家の中で家族が一つにつながっている。
ダイニング側からの開放感も抜群。リビングの隣に設けた​3帖の予備室は、洗濯物をたたんだりの家事室だが、今は​子どもの遊び部屋として活用。いつも家の中で家族が一つにつながっている。

 

この家で「廊下」は階段、リビング、洗面所が交わるこの1帖だけの場所。無駄なく全ての場所がうまく繋がる間取りとなっている。​ 階段下にはトイレと収納を配置。
この家で「廊下」は階段、リビング、洗面所が交わるこの1帖だけの場所。無駄なく全ての場所がうまく繋がる間取りとなっている。​ 階段下にはトイレと収納を配置。

コンパクトな住まいでありながら、水回りの広さはしっかり確保。「日々の家事をストレスなく行うことは、何よりも大事」と鳥羽さんは話す。

コンパクトな住まいでありながら、水回りの広さはしっかり確保。「日々の家事をストレスなく行うことは、何よりも大事」と鳥羽さんは話す。

西側の階段まわりが明るいのは、トップライトを設けているため。太陽の光を巧みに取り込むことで、家の中すべてが明るさと心地良さに包まれる。
西側の階段まわりが明るいのは、トップライトを設けているため。太陽の光を巧みに取り込むことで、家の中すべてが明るさと心地良さに包まれる。

建築データ

■家族構成 夫婦、子供1人

■構造 木造2階建て

■工法 在来工法

■敷地面積 132.24㎡(約40.07坪)

■延床面積 合計84.97㎡(約25.74坪)/1階59.69㎡(約18坪)、2階25.28㎡(約7.6坪)

■スケジュール 設計期間2012年12月~2013年8月

       施工期間2013年10月~2014年4月

■設計・監理 鳥羽知夫建築設計事務所

■施工 島出建築事務所

 

 

 

Uさんの夢を叶えた建築家

[建築家]鳥羽知夫さん

toba.

設計コンセプト

「若いご家族から依頼された住宅でした。不備を改善し、今の生活と重ね出された要望をまとめてみると25坪というコンパクトな『家』にまとまりました。家の広さは、敷地の制約や予算ではなく、根本は『暮らし方』なんだと気付かせてくれた物件でした」