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» 2017/02/25/

登録建築家の『自分の』家【今瀬健太さんのカフェ&事務所】編


建築家の自邸は、クライアントというある種の制約から開放される。とはいえ、世界で一番手厳しい家族の意見をどこまで尊重し、自分らしく遊んで設計していくか・・・。今回はIKU建築設計事務所の竹内郁夫さんが自邸を完成させたので、その魅力をご紹介。また、Wrapの今瀬健太さんは、自邸ではなく、リノベーションして自分のカフェをオープンさせた。しかも、面白いのが設計事務所をカフェから一望できるように隣接させていること。今回の取材を通して、竹内郁夫さんと今瀬健太さんそれぞれの自分らしい設計を紐解いていきたい。

 

今瀬健太の店舗&事務所

few coffee stand/Wrap

街の一角に開放された

ユニークな設計事務所

建築家という存在をもっと身近なものに

 「建築家のオフィス」は、クライアントと建築家とをつなぐ大切な場所である。しかし、その言葉には、どことなく〝敷居の高さ〟のようなイメージが感じられはしないだろうか。

 「もっと身近な存在として建築家や設計事務所を感じてもらいたいんです。気軽に立ち寄り、相談できる場所をつくりたいと考えていました」。

 2016年11月に今瀬さんが徳島中央公園の近くに開いた新しい事務所は、彼の思いが形になったスペースだ。最大の特長は、奥さまが営む小さなコーヒースタンドの一角にあること。道路からはもちろん、店内からも自然とオフィスの内部が目に入る間取りとなっている。

 「コーヒースタンドの一角に事務所をつくるというアイディアは、この物件を見てから決めました。もともと店舗だった場所ですし、すんなり街に溶け込めるのではと思ったんです」。

 できるだけ外とのつながりを強めるため、ファサードを大きなガラスの引き戸としたのも、そんな工夫の一つである。また、あえて天井の鉄骨を露わにし、壁面はブロック塀を白くリペイント。その上で最低限の要素だけをプラスしている。既存の建物が持つ良さを引き出し、生かしていくアプローチは、今瀬さんの真骨頂といえるだろう。

一つの空間を分け合うシェアという考え方

 独立して5年という節目で新しい事務所を構えた今瀬さん。彼の考え方の背景には、これからの建築家の在り方を模索する独特の姿勢が強く表れている。

 「極端な話、設計をするだけならば、自宅でもできるんです。でも、誰とも会わない場所で、お客さんを待っていても、何も始まらないような気がして」。

 さまざまな分野で活躍するクリエイター・グループ『fill design』へ参加している経験からも〝人と人とが出会う場所〟の重要性を再認識したという。

 「広さの限られた空間をいろいろな業種の人々が分け合う。ここ徳島でも、そういう形が増えていくと面白そうですよね」。

 今瀬さんのつくったオフィスは、時代のキーワードの一つである〝シェア〟の体現でもある。建築家の事務所とコーヒースタンドという組み合わせは「こんな方法も悪くないでしょう?」と語りかけてくるようだ。

 「たまたま見かけたコーヒースタンドに建築家の事務所がある。何か相談してみようか――。そんな気軽さが理想なんです」。

 空間そのものが持つ面白さが人を呼び、そこで出会った人たちとの化学反応を楽しみたいと今瀬さんは笑う。街に向かって大きく開かれた建築家のオフィスは、これから先、どのような成長を遂げるのだろうか。

今瀬健太 Imase kenta

Wrap

プロフィール

1983年生まれ、血液型A型、ふたご座。四国大学短期学部生活科学科デザイン専攻卒。地元建築会社で現場監督・設計業務を経験後、2012年、建築設計事務所Wrap(ラップ)を設立。ニ級建築士。

imase

設計コンセプト

「街にひらくお店・事務所。街の一部、小さな商いとして出来るだけ開放して身近なものに感じて欲しいと考えて設計しました。事務所も閉ざされたものではなくファサードもお店に合わせ、外とのつながりを強く感じれるようガラス引き戸としました。時期によっては戸を開けてお店を営業できる、事務所も戸を開けて外で仕事ができる。外と内の境界を曖昧にし、お互いに共有しながら繋がる場所をつくるというとこを意識しています。全体的には既存の建物を出来るだけさわることなく生かしながら手に触れるものや新しく作るものには素材感(木/石/コンクリートなど)を感じれるもので構成しました」

 

 

オフィスから客席を臨む。テーブルの天板は大理石の特注品、木製チェアは座り心地良く、デザイン性の高いものをセレクト。

オフィスから客席を臨む。テーブルの天板は大理石の特注品、木製チェアは座り心地良く、デザイン性の高いものをセレクト。

客席から見たオフィス。実際に座ってみると、絶妙な高さに設置された壁が視線を遮るため、互いに視線が合うことはない。

客席から見たオフィス。実際に座ってみると、絶妙な高さに設置された壁が視線を遮るため、互いに視線が合うことはない。

オフィス・店舗ともにファサードとして大きなガラスの引き戸を採用。コーヒーを受け取るカウンターにも陽光が降り注ぐ。

オフィス・店舗ともにファサードとして大きなガラスの引き戸を採用。コーヒーを受け取るカウンターにも陽光が降り注ぐ。

鉄骨が露わになった天井にはシーリングライトがない。夕方からは巧みに配置された照明器具が独特の空気感をつくる。

鉄骨が露わになった天井にはシーリングライトがない。夕方からは巧みに配置された照明器具が独特の空気感をつくる。

白くリペイントしたブロック塀に合わせ、さりげなく配管とエアコンをカバー。使用したのは下地材である木毛セメント板。

白くリペイントしたブロック塀に合わせ、さりげなく配管とエアコンをカバー。使用したのは下地材である木毛セメント板。

ガラスの引き戸をフルオープンしたfew coffee stand。内と外との境界が曖昧になり、ふらりと立ち寄りやすい雰囲気が増す。

ガラスの引き戸をフルオープンしたfew coffee stand。内と外との境界が曖昧になり、ふらりと立ち寄りやすい雰囲気が増す。

柔らかな照明の光が美しい外観。照明器具はすべて異なるものが使用されており、それぞれを見比べる密かな楽しみもある。

柔らかな照明の光が美しい外観。照明器具はすべて異なるものが使用されており、それぞれを見比べる密かな楽しみもある。

道路側から見たオフィスの内部。ショールームのような独特の雰囲気に立ち止まり、中を覗いていく人も少なくないとか。

道路側から見たオフィスの内部。ショールームのような独特の雰囲気に立ち止まり、中を覗いていく人も少なくないとか。

few coffee stand&Wrap建築データ

■構造 鉄骨造

■工法 1Fテナントのリノベーション

■延床面積 合計27㎡(約8.18坪)

      カフェ部20㎡(約6.06坪)

      事務所部7㎡(約2.12坪)

■スケジュール 設計期間2016年7月~2016年8月

         施工期間2016年9月~2016年10月

■設計監理 Wrap

■施工 Wrap

few coffee stand&Wrap平面図

今瀬カフェ平面図画像

1 厨房

2 テーブル席

3 事務所

few coffee stand

徳島市南前川町4-2

tel: 088-660-2973

営業時間:9:00~17:00

定休日:水曜、日曜

https://few-coffee.jimdo.com

 

kokuchi

 

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