建築家と素敵な家づくり
祝151棟目 建てようネットで建てた家
実家の近くにある土地を購入したDさん。工場として使われていた建物を改修し、夫婦の新居にしたいと考えたのが建てようネットに足を運んだきっかけだった。
「知り合いにも建てようネットを利用した人がいて、とても評価が高かったので話を聞いてみることにしました。最初は既存工場の鉄骨を活かしてリフォームできないかと考えていたのですが、道路との距離や地盤の脆弱性などを兼間さんからご指摘いただき、思い切って新築することにしたんです」。
今回の建築デザインで、最初に目を奪われるのが特徴的な外観。建物の四方に大小の立方体が張り出し、そこに4つのカラフルな色を配色した。通常のカラーリングよりも少し高めの彩度を採用した理由について、兼間さんは次のように話す。
「国道沿いであれば、もう少し落ち着いた色味を選択したでしょう。でも、ここは住宅地の一角にあるため、存在感を主張するために少しだけ強めの配色を施しました。汽車の中から一瞬だけ見える住まいの表情は“住宅地に舞い降りた一羽の鶴”のイメージです」。
周囲との関係性や施主のデザイン感覚などを考慮し、外観にも暮らしの豊かさを封じ込める手法は、建築家の独創的意識と表現が感じられる。
建物の1階には、ご夫婦の車2台がゆっくりと停められるガレージを設置。最初は作る予定のなかった洋室の書斎をガレージに併設し、ユーティリティスペースとしての機能を持たせた。
2階に上がると、LDKの開放的な空間が広がる。上階を生活の中心に設定したのは、万一の津波被害を考えてのこと。大きく開口した南側の窓からは、部屋いっぱいに光が降り注ぐ。
「とにかく暖かい家に住みたかったのですが、冬でも床暖房が必要ないぐらいポカポカしています。玄関や廊下、部屋などに収納スペースもたっぷりと作っていただいたので、家の中はいつもスッキリと片付いています」と奥さまも満足そう。
真っ赤なシステムキッチンや洗濯室の作業台、壁に貼られたモザイクタイルなど、屋内にも絶妙な彩色計画を実現。ご夫婦の好みなども取り入れながら、心豊かに暮らすためのデザイン性を追求した。
「兼間さんは本当に気さくな方で、私たちが知らないことをたくさん教えてくださいました。デザイン性だけでなく、掃除や洗濯などの家事も本当に便利。素晴らしい建築家に出会えたことに、とても感謝しています」とご夫婦。最初の想定を良い意味で裏切り続けた提案力は、まさに建築家の真骨頂と言えるだろう。
Dさんの夢を叶えた建築家
兼間至公
【プロフィール】
1952年生まれ、血液型B+の上、やぎ座。大阪芸術大学芸術学部建築学科卒。大学研究室勤務後、設計事務所などを経て独立。一級建築士。
設計コンセプト
「日常的な建築のイメージを脱し、感動のある建物を目指した。日常的な用途を持ち、実用製品であるべき住宅を日常的な材料を用いて例外的な空間を結晶のように生み出そうと設計した。明るくさわやかな外観をパステルカラーの彩色により表現。建築主の選んだ彩色。強烈で豊かな雰囲気が実りまさにメタファーな感性が現れたと思う」
建築データ
■家族構成 施主、妻
■構造 鉄骨造2階建て
■敷地面積 341.21㎡(約103.79坪)
■延床面積 合計188.52㎡(約57.02坪)
1階87.66㎡(約26.51坪)
2階100.86㎡(約30.51坪)
車庫48.21㎡(約14.58坪)
■スケジュール 設計期間2014年2月~2014年9月
施工期間2014年12月~2015年8月
■設計監理 兼間建築設計研究所
■施工 新井建設
D邸間取り
1 玄関
2 洋室書斎
3 ホール
4 車庫
5 居間
6 食堂
7 寝室
8 洋室
9 洗面・脱衣室
10 サンルーム
11 バルコニー