建築家と素敵な家づくり
「街中なら自転車で生活出来るし、車も1台でOK、そう考えると理想的な場所でした」。施主Nさんが、数年掛けて探し購入された土地は、街中の細い路地の角地。「車もほとんど通らないので、安心して子供を外で遊ばせています」と奥さま。確かに角地に建つ圧迫感はなく、むしろ路地も含んで敷地以上に伸びやかさを感じる。
まずその「外観」であるが、注目したいのは斜めの壁。真南に直交させることで生まれた角の三角スペースは、屋外では「囲い庭」として活用、屋内でもこの角度が上手く生かされ、内外のつながりが実に心地よく、密集した住宅地の中とは思えないほどの豊かな空間を生み出すことに成功している。
家族が集う場に力を注ぎ、一番居心地の良い空間に。これは、家づくりの中でも定番となっている考え方の一つだ。今回の住まいのコンセプトもそこにあるが、従来のクオリティを軽々と飛び越えるデザイン性と快適性が備わっている。「基本的なアイデアはNさんからいただき、後はストレスなく生活が送れるよう、動線計画や間取りのディテールを詰めていきました」と鳥羽さん。
お施主様のあふれる思いやアイデアを受け止め、さらに磨き挙げる柔軟性も建築家の持つスキルの一つと言えるだろう。
Nさんが今回の家づくりにおいて最も重点を置かれたのが「省エネ性能」。「家づくりなんて無理かもと、諦めていた時もありました。でも家の省エネについて勉強するうちに、家を建てることが可能かも、と思えるようになりました」とご主人。
さまざまな角度から家計の負担軽減策を検討した結果、屋根には太陽光発電を設置することに。一番効率の良い片流れ屋根を採用し、その形状を屋内の開放感にも活かした。床や天井には杉の無垢材を用い、開口部には障子を使用。自然素材に包まれた心地よい空間であり、省エネ性能で家計にも優しい住宅になっている。
「僕の要望が『和の空間』だったのに対して、妻は『ナチュラルな空間』にしたかったんです(笑)。鳥羽さんのおかげで、その両方の要素を併せ持つ空間になりました。「鳥羽さんは僕たちの要望をすべて受け止め、柔軟に対応してくれました。建築家に頼んで本当に良かったと思います」とご主人。数え切れないほどのこだわりを詰め込んだ家で、家族の幸せな時間が続いていく。
Nさんの夢を叶えた建築家 鳥羽知夫
設計コンセプト
「街中の細い路地に建つ住宅。路地の角地であること、駐車スペース、太陽光パネルに適した屋根形状など、物理的な条件から自然と削り出された形状は、地域に溶け込み、そして豊かな内部空間を生み出すことが出来ました。家の中心には「食卓」を配置。家族それぞれが忙しくても、一日一度は必ず顔を合わす場所を大切に考え、そこから全体が構成されています」
建築データ
■家族構成 夫婦+子供2人
■構造 木造2階建て
■工法 在来軸組工法
■敷地面積 155.97㎡(約47.26坪)
■延床面積 合計115.23㎡(約34.9坪)
1階63.59㎡(約19.26坪)
2階51.64㎡(約15.64坪)
■スケジュール 設計期間2014年5月~2015年3月
施工期間2015年4月~2015年11月
■設計監理 鳥羽知夫建築設計事務所
■施工 新井建設
N邸間取り
1 玄関
2 キッチン
3 食卓
4 パントリー
5 和室
6 納戸
7 洗面スペース
8 室内干場
9 子供室
10 クローゼット
11 寝室
12 書斎13 太陽光パネル
14 トップライト