建築家と素敵な家づくり
家族の気配を感じる開放的な間取り
玄関を入ると、無垢の杉材に包まれた開放的なLDKが目前に広がる。家の中央には吹き抜けがあり、奥さまが立つキッチンや2階の子ども部屋、書斎や寝室をゆるやかにつなぐ。
家のどこにいても家族の気配が感じられるナチュラルな空間を創り出したのは、建築家の中村さん。日々の暮らしの中で家族がコミュニケーションを深めながら、小さな子どもたちが元気に伸び伸びと育っていける家づくりを目指した。
「奥にある和室スペースを含め、1階にはほとんど仕切りを設けていません。現在は2階の子ども部屋も一つの空間として使っているため開放的な生活を送っていただけます」。
現在、小学生の2人の子どもを持つ施主が家づくりを検討し始めたのは4年ほど前のこと。建てようネットのライブラリーを活用し、さまざまな建築家の資料に目を通しながら理想のパートナーを絞り込んだ。
「無垢材を用いた家づくりはもちろん、家族の一体感を生み出す中村さんの設計力に魅力を感じました」とご主人。50以上にも上る希望や要望を一冊のノートにまとめ、何度も打ち合わせを重ねたそうだ。「疲れて仕事から帰ってきた後も一生懸命に中村さんからの返信メールを確認していましたね」と奥さまは当時を振り返る。
実家や近所との間に気持ちの良い距離感を
ご主人の実家の敷地内に新築するにあたり、中村さんが大切にしたのが母屋との適切な距離感。外構も含め、お互いが心にゆとりを持って気持ち良く暮らせ るための設計を心掛けた。
「ご実家との間に生け垣を設けることによって穏やかな家族づきあいを育むことができます。さらにキッチンの窓の向こうに木を植えることで、緑豊かな風景を演出しながら、それぞれの家庭のプライバシーも優しく守れています」。
また、中村さんの提案により、玄関のすぐ横にLDKと一つにつながるサンルームを設置。ガラスで仕切ら れた壁は屋内と庭をつなぐ中間領域となり、あふれるような光と風を1階全体に届けている。
「冬場は暖房なしで一日いられるほど暖かく、ゲストの方も気持ち良く迎えられる場所となっています。最 近は断熱にこだわる余り家を壁で覆うケースが増えていますが、太陽エネルギーや風通しを活かすことの方が本当の意味での省エネであり、豊かさだと思っています」。
家族専用の下足室からお風呂場へと直行できる導線も、育ち盛りの子どもたちの行動を考えてのこと。
「これから歳を重ねて家族のライフスタイルが変わっても、この家ならきっと幸せになれる自信があります」と奥さまは笑顔で話してくれた。
Tさんの夢を叶えた建築家 中村正則
1952年生まれ、血液型O型、獅子座。法政大学工学部卒。森下建築設計事務所を経て、独立。一級建築士。建築士会バリアフリー研究会、徳島ユニバーサルデザイン研究会に所属。
設計コンセプト
「新居での生活が1年を過ぎ、マンション生活との大きな変化は、奥様が友達を招いての交流、子供達の休日はあすたむらんどやゆめタウン通いから自宅の庭や周辺での外遊び、そして何より残業続きで帰宅の遅かったご主人の帰宅が早くなり休日も庭作業や子供との時間が増えたこと。家+庭の自然な『家庭生活』の始まりである」
建築データ
■家族構成 夫婦+子供2人
■構造 木造2階建て
■工法 在来軸組工法
■敷地面積 361.67㎡(約109.6坪)
■延床面積 合計135.3㎡(約41.0坪)
1階80.2㎡(約24.3坪)
2階55.1㎡(約16.7坪)
■スケジュール 設計期間2015年7月~2016年7月
施工期間2016年8月~2017年2月
■設計監理 M&N都市建築設計事務所
■施工 小野建設
T邸間取り
1 玄関
2 ホール
3 下足室
4 洗面脱衣
5 食品庫
6 台所
7 居間・食堂
8 クローゼット
9 和室コーナー
10 ウッドデッキ
11 サンルーム
12 寝室
13 書斎
14 プレイルーム
15 個室
16 バルコニー
17 ロフト