建築家と素敵な家づくり
2人目の出産を間近に控えたことを機に、念願だった家づくりを決意した建主のKさn。ご主人が建築に興味を持っていたこともあり、「建てようネット」を通じて建築家との面談に臨んだ。
「自分たちのざっくりとした要望に対し、いろんな選択肢を用意してくれた開さんを指名させていただきました。土地選びからお付き合いいただきましたが、それぞれの立地環境に対して『ここなら、こんな感じの家になりますよ』というイメージを分かりやすく伝えていただけたことにも感謝しています」とご主人は振り返る。
今回の家づくりのコンセプトは『いろんな場所に家族の居場所をつくる』こと。そこには移り変わる時代や家族一人ひとりの多様な価値観の中で、住宅建築の在り方を模索してきた開さんの思いが込められている。
「これまで建築家は『リビングに家族が集う』を前提に住まいをつくってきましたが、最近はスマホで一人楽しむなど、個室にいる時間が長くなってきています。こうした過ごし方の変化に対応しながら、今まで以上に家族のコミュニケーションが深まる住まいを作りたいと考えていたんです」と開さん。Kさんもその考え方に共感し、具体的なプランとして浮かび上がったのが「スキップフロア」を用いた家づくりだった。
ご主人が読書好きということもあり、大きな本棚を家の中央に配置。その周りをぐるりと囲むように幅広の階段を設け、1階のダイニングキッチンと中2階のリビング、そして2階の個室をゆるやかにつないだ。
「階段を移動空間だけで終わらせるのではなく、家族の居場所としてマルチに活用できれば有意義な空間になる」と開さん。その計画通り、今ではご主人が本を読んだり、子どもたちが上下階を使ってボール遊びをしたりと、豊かな暮らし方を象徴する場所となっている。
「最初は四つん這いで上っていた子どもが、お尻をずらしながら降りてきたり、そのうち両足だけで上り下りができるようになったり。キッチンからリビングを見上げているだけでも、日々子どもの成長を感じられるんですよ」と奥さまは嬉しそうに笑う。
また、2階の個室をつなぐ廊下にはデスクスペースを設置しているほか、玄関先と水回りをつなぐ半地下を収納やウォークスルークローゼットとして活用。あらゆるフロアをマルチな空間にすることで、施主が望んだ〝住みやすさ〟と〝デザイン性〟を高いレベルで実現した。
一人の建築家との出会いが、家族の未来を大きく変える。そんなことを再確認した建築事例の一つと言えるだろう。
Kさんの夢を叶えた建築家
[建築家]開 達也
1972年生まれ、血液型O型、牡羊座。大阪工業技術専門学校卒業後、現事務所に。一級建築士。徳島大学工学部非常勤講師。
設計コンセプト
「大きな本棚が家の真ん中にあり、本棚を中心に大きな階段がぐるりと廻るスキップフロアの家。大きな階段は、1階のダイニングから半階上がりリビングへ、さらに半階上がり各個室へと、1階と2階を緩やかにつなぎ、移動するだけの空間になってしまいがちな階段を大きくすることで、座って本を読むなど、居場所のひとつとなっています」
建築データ
■構造 木造2階建て
■工法 木造在来工法
■敷地面積 198㎡(約59.895坪)
■延床面積 合計102.68㎡(約31.06坪)
1階50.51㎡(約15.28坪)
2階52.17㎡(約15.78坪)
■スケジュール 設計期間2015年8月~2016年5月
施工期間2016年6月~2016年12月
■設計監理 開建築設計事務所
■施工 島出建築事務所
K邸間取り
1ガレージ
2 テラス
3土間
4ダイニング
5 キッチン
6洗面脱衣室
7クローク
8 収納
9 物干し場
10 リビング
11 書斎
12 寝室
13 子供室
14 クローク
15 バルコニー
16ロフト