» 2019/05/14/
家といえば、箱型の建物を思い浮かべるのが普通だろう。しかし、開さんの設計した平家の中には、アルファベットの〝N〞の形をした家がある。
「施主から出された条件は、デザイン性と機能性とを両立させること。N型デザインの平家というプランは、さすがに驚かれましたが、とても気に入っていただけました」。
ともすれば、形の面白さから奇をてらったのではと疑いたくなるが、そんなことはない。これは敷地条件を最大限に生かすため、緻密に考え抜かれたプランなのだ。『N house』へと至る過程を聞いていこう。
「まず建築予定地が南北軸からずれているため、光と風の確保をどうするか。そして、南北にある民家からの視線をどう遮るか。これらを解決するアイディアが必要でした」。
発想の原点はすべての部屋(ボックス)を機能別に「玄関・水回り」「LDK・寝室」「子供室」と3列に分類するところから。次にそれぞれの列を独立させ、光と風を取り入れられるように改良。中央列の「LDK・寝室」を南北軸に合わせて回転させ、南からの太陽の恵みを十分に受けられる住まいを創りだした。
「結果的にN型デザインとなりましたが、外部にできた三角状スペースにも機能を持たせています。北側は脱衣室とクロークへ直結している物干し、南側は広々とした田園風景を望む空間となりました」。
確かに変則的ではあるが、生活動線の短縮や外部空間の活用などメリットは多い。興味深い平家のプランである。
設計コンセプト
「平面プランを N 字形とし、三角状にできた 2 つの外部空間ができる。南側は光を取り込み、眺望を楽しめる遊びの空間になり、北側は水廻りとキッチンの間に出来た物干し空間となる。変則的なプランだが、生活の楽しみと機能性を両立させた住宅となっている」( 開)
建築データ
■ 家族構成 : 施主・妻・子供2人
■ 構造 : 木造
■ 工法 : 在来工法
■ 敷地面積 : 440.05m2( 約133坪)
■ 延床面積 : 合計 129.75m2( 約39坪)1階 129.75m2( 約39坪)
■ スケジュール :
設計期間 2011年11月~2012年12月
施工期間 2012年12月~2013年5月
■ 設計監理 : 開建築設計事務所
■ 施工 : 司工務店
I 邸間取り
① 玄関
② 和室
③ シューズクローク
④ 納戸
⑤ 坪庭
⑥ 洗面
⑦ 浴室
⑧ 脱衣室
⑨ リビング
⑩ ダイニング
⑪ キッチン
⑫ 食品庫
⑬ クローク
⑭ 寝室
⑮ 子供室
【情報掲載日/2016年11月25日】
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