» 2019/05/24/
毎日を暮らす「家」と休暇を過ごすための「別荘」には、同じ平家でも大きな違いが生まれる。そこにはどうしても「日常」と「非日常」との差が浮き彫りになるからだ。
松林を背景に砂浜から乗り出すように建つH邸は、中川さんが施主の要望を形にした週末を楽しむ住まいである。
「平日の忙しい暮らしから開放されてリラックスできること、アウトドアスポーツやマリンスポーツの拠点として使えること。具体的に話があったのはその2点だけ。後はすべて任せていただけました」。
中川さんは必要な機能を整理し、大きなLDKと寝室、トイレとシャワールームを備えた平家を設計。リビングの延長として、ジャグジーのある広いウッドデッキと各種道具類を入れる倉庫を造った。
「少人数の短期滞在が基本ですから、広さにこだわらなくていい。周囲の自然と一体化させることを考えると、コンパクトな平家が理想でした」。
LDKの中央には囲炉裏のように使うことができる御影石製のテーブルがあるほか、一角には畳カーペットを用いて和室代わりの空間を設えた。
「ちょっとした寛ぎの空間でもあり、友人が宿泊する際の寝室代わりでもあります」。
チェストなどで緩やかに空間を仕切ると、見た目も変化がつけやすく、使い途もそのときどきで変えられるという。
広いウッドデッキがもう一つのリビングにもなる『中林海岸の家』。休みの度、わざわざ県外から施主が訪れるというのも納得の週末住宅である。
設計コンセプト
「国定公園の中に建つ週末住宅。近隣の集落からは、松林を介している為、周りにはほぼ建物が見えない孤島のリゾートのような立地。緩やかな斜面の高い場所に建物は配置し、周りの景観を見渡せるよう計画している。LDK の室内と同じほどのデッキを一体に設置し、連携して使えるようジャクジーバスやデッキチェアなどを配置している。沈む夕日の中に佇む姿は、ここがどこだったかを忘れるようだ」( 中川)
建築データ
■ 家族構成 : 施主・妻
■ 構造 : 木造
■ 工法 : 在来工法
■ 敷地面積 : 992.54m2( 約300.77坪)
■ 延床面積 : 合計 135.00m2( 約36.14坪)1階 135.00m2( 約36.14坪)
■ スケジュール :
設計期間 2007年1月~2007年12月
施工期間 2008年1月~2008年5月
■ 設計監理 : 中川建築デザイン室
■ 施工 : 島出建築事務所
H邸間取り
① エントランス
② 倉庫
③ トイレ
④ LDK
⑤ 暖炉
⑥ 畳
⑦ 寝室
⑧ 脱衣室
⑨ シャワー室
⑩ テラス
⑪ 風呂
【情報掲載日/2016年11月25日】
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