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» 2019/08/25/
就学前のお子さまを持つ施主が新たな住居として希望したのは、ご主人の両親が暮らす実家の二世帯住宅化。あまり使われていなかった2階部分をリノベーションすることで、2つの世帯がほどよく交流しながら豊かに暮らせる家づくりを目指した。
「リフォームだけど新築のように魅力的な家づくりがしたかったんです」と話すのは、ずっとマイホームの実現を夢見ていた奥さま。だからこそ、ゼロからコンセプトやデザインを一緒に考え、新たな可能性を生み出してくれる建築家の起用は当然のことだったと言う。
「実際に暮らすのは2階だけど、平屋のような暮らし方ができる空間がほしくて。坪数は広くないけれど、子どもが遊ぶスペースや収納もほしいし、意匠性にもこだわりたかった。建てようネットを通じて野田さんをパートナーに選んだのも、オリジナル家具を含めた家づくりに定評があったからです」。
もう一つ、ご家族が建築家に要望したのが、心地良いリビングを中心とした暮らし。そんな考え方も「個室は最小限のスペースで良い」と考える野田さんと一致した。まず野田さんがイメージしたのは、家族の生活ややコミュニケーションの基本となる横長の大きなダイニングテーブル。そこから生まれる豊かな暮らしを逆算しながら、LDKを中心とした建築デザインが構築されていくことになる。
今回採用した間取りは、畳スペースを併設した広いLDKと小さな寝室、トイレやお風呂などの水回りというシンプルなもの。3つの部屋を仕切っていた壁を取り払い、南からの明るい光を家中に取り込んだ。
「建物が持っている歴史やポテンシャルを少しでも引き出せるよう心掛けています」と野田さん。その言葉通り、ダイニング上部の天井を取り払うことで小屋組みの立派な梁を露出させ、開放感で存在感のある空間をつくり出した。手加工による漆喰塗りの天井が間接照明によって浮かび上がり、周囲に優しい光を落としている。
また、奥さまの希望を受け、開口部にアール(角丸)を用いたデザインで統一。外壁の内側にプラスターボードを張ることで、コストを抑えながらも、窓や通路、天井など、あらゆる場所にアールのある、かわいい空間を実現した。
さらに、畳スペースやリビングの一部を小上がりにすることで、収納スペースをしっかりと確保。構造上必要だった2本の柱の間にはブランコを設置するなど、限られたスペースを最大限に活用している。
「このブランコは子どもの友達にも大人気。10人近くのゲストを招いても、みんなでゆっくりお食事もできるんですよ」と奥さまも笑顔。〝古と新〟が融合した新築のようなリフォームが、また一つ完成した。
Mさんの夢を叶えた建築家 野田雅之
1974年生まれ、血液型O型、獅子座。名城大学理工学部建築学科卒業。岡田昭則建築研究所(兵庫県)、剛建築事務所、Celiaを経て独立。一級建築士。
設計コンセプト
「ご主人の実家の木造2階建て住宅を1階にご両親、2階に息子世帯が住むために2階だけリフォームを行った。生活リズムが違うため玄関を2階に増築した。2階建住宅の2階部分は個室にすることが多く、壁、柱が細かく入っていることが多い。そのため、家族、友人が集うことのできる大きなLDKを作るために、入念な調査と計画が必要でした。外と内、古と新、過去と未来、その対比を建築で少しでもカタチにしたかった。既存のままの外壁と改装した新しい間取り、古い小屋組みと新しいリビング、思い出とここからできる楽しい体験をつくって欲しい」
建築データ
■家族構成 夫婦、子供1人
■構造 木造2階建て
■工法 2階をフルリノベ
■敷地面積 622.29㎡(約188.57坪)
■延床面積 2階77.59㎡(約23.47坪)
■スケジュール 設計期間2017年9月~2018年3月
施工期間2018年4月~2018年7月
■設計監理 CALL SPACE DESIGN
■施工 湯浅工務店
M邸間取り
1 玄関
2 キッチン
3 畳コーナー
4 階段
5 リビングダイニング
6 小上がりスペース
7 WIC
8 洗面脱衣
9 寝室
10 既存バルコニー