建てようネット[徳島]で建てた家

建築家と素敵な家づくり

祝 118棟目 N邸『藍住の家』


 

 

祝 118棟目 建てようネットで建てた家

建築家・鳥羽知夫+島出建築事務所

 

藍住町・N邸

藍住のいえ

外観を南側に建つアパートの2階から見る。「南に開放的に」という一般的な概念を覆すような仕様だが、高い位置に設置した窓は採光性が高く、効果的に光が行き届く。
外観を南側に建つアパートの2階から見る。「南に開放的に」という一般的な概念を覆すような仕様だが、高い位置に設置した窓は採光性が高く、効果的に光が行き届く。

 

 

プライバシーと開放性を同時に確保した「藍住のいえ」

南側はあえて閉じ、東側を開放的に。さて、その理由とは?

 「この『藍住のいえ』で最も重視したのは、プライバシーの確保と採光の確保でした。敷地のすぐ南側に2階建のアパートが建っているために、開放すれば丸見えになってしまう恐れがあり、かといって閉じてしまえば室内が暗くなる。その問題を解決する策として提案したのが、階段を兼ねた吹き抜けを設置し、窓の位置やサイズを工夫して光や通気を確保する、というものでした」と鳥羽さん。2階の南側の窓は高い位置に取ることで、中と外の目線が合わないように工夫されています。同時に、リビング・居室ともに東側に広く開放することでも明るさを確保。「これぞ“設計の妙”という感じにビックリ。充分明るいし、吹き抜けがあっても蓄熱暖房機を設置してもらったので冬場でも暖かかったですし。何より、外を気にすることなくカーテンなしの生活ができるのが快適で気持ち良いですね」と、奥さんも大満足の家となりました。

 

「鳥羽さんにお願いすれば、エエ感じにしてくれそう(笑)」

 

 「そもそもは、建てようネットの別冊を見ていて、優しい雰囲気というか、自然体な暮らしができそうな鳥羽さんの作品に、ずっと惹かれていました」というNさんご夫婦。約3年前、東日本大震災が発生した時に海の近くに住んでいたことから、「1日でも早く引っ越したい」と居てもたっても居られず、『建てようネット』のドアを叩いたそうです。

 「建築家の方に家づくりをお願いしようと思っていたのは、だいたいのニュアンスを伝えればエエ感じに仕上げてくれそう…というか(笑)。ハウスメーカーなどより細かいオーダーに応えてくれそう、というのが大きな理由でした。その点、鳥羽さんは理想通りで、話し合うたびに新しい発見があったりと、とても楽しい家づくりでしたね」(ご主人)。

 

施主と建築家との共同作業こそが“家づくり”の醍醐味

 

 例えばキッチンを一段低くしたのは、「料理しながらテレビを見たくて(笑)」という奥さんの要望を受けた鳥羽さんの提案によるもの。さらにはキッチンの正面にカウンターテーブルを設置して、目線を合わせるという効果も持たせました。しかし、単に建築家の手腕だけが際立っているわけではありません。鳥羽さん曰く、「ご主人がすごく勉強されていたのが印象的。僕なんかよりずっと…って言ったらプロとしてアレですけど(笑)、そうして強い想いを持ってくれていたので、共に家づくりを楽しむことが出来たかな。」と。外壁にはトタン板風のガルバリウム鋼板を使用しているのですが、これは「倉庫のような雰囲気にしたい」という思いから、ご主人が色々と調べ、探し出してきたもの。こうした共同作業が建築家とのまさに“家づくり”であり、単に“家を買う”というのとは明確な違いと言えるのではないでしょうか。

奥の階段から漏れてくる光が室内を優しく包む。ダイニングテーブルは座卓になっており、中央の大黒柱も含めて和の雰囲気が醸されている。写真手前はキッチンとの対面式のカウンターテーブル。
奥の階段から漏れてくる光が室内を優しく包む。ダイニングテーブルは座卓になっており、中央の大黒柱も含めて和の雰囲気が醸されている。写真手前はキッチンとの対面式のカウンターテーブル。

真っ白いタイル貼りのキッチンは奥様の要望。美しさや清潔感と同時に、中央奥に見られるように吸盤付きのタオル掛けを鍋蓋掛けに代用するなど機能性も充分。
真っ白いタイル貼りのキッチンは奥様の要望。美しさや清潔感と同時に、中央奥に見られるように吸盤付きのタオル掛けを鍋蓋掛けに代用するなど機能性も充分。

 

玄関ホールとひと続きになっている駐輪場は、リビングからも見られるガラス張り。ご主人が愛車のバイクをいつでも愛でられる仕様になっている。
玄関ホールとひと続きになっている駐輪場は、リビングからも見られるガラス張り。ご主人が愛車のバイクをいつでも愛でられる仕様になっている。

敷地の東側にはレンコン畑。それに向かうように東側を開放しており、春〜梅雨どきにかけては青々と茂る葉が、夏場には美しい花が、リビングから眺められる。
敷地の東側にはレンコン畑。それに向かうように東側を開放しており、春〜梅雨どきにかけては青々と茂る葉が、夏場には美しい花が、リビングから眺められる。

 

階段の踊場の上部にトップライトを設置。CDやフィギュアといったアイテムを魅せる収納も、太陽の光が印象的に演出する。
階段の踊場の上部にトップライトを設置。CDやフィギュアといったアイテムを魅せる収納も、太陽の光が印象的に演出する。

 

写真右手のアパートがN邸の真南にあたり、手前が住民用の駐車場。人の出入りを気にしなくても良いように、建物の南と西は視線を遮る工夫がされている。
写真右手のアパートがN邸の真南にあたり、手前が住民用の駐車場。人の出入りを気にしなくても良いように、建物の南と西は視線を遮る工夫がされている。

 

玄関1

玄関は少し広めの土間のような造りで、駐輪場とはひと続きに。駐輪場からもリビングと行き来できるようになっており、子どもたちの遊び場にもなっている。
玄関は少し広めの土間のような造りで、駐輪場とはひと続きに。駐輪場からもリビングと行き来できるようになっており、子どもたちの遊び場にもなっている。

 

子供部屋はそれぞれ5畳ほど。それほど広くないスペースを有効活用するため、部屋間に上下たがい違いのベッドを設置している。
子供部屋はそれぞれ5畳ほど。それほど広くないスペースを有効活用するため、部屋間に上下たがい違いのベッドを設置している。

 

キッチンと同様にタイルを使用。全体的な統一感を演出すると同時に、気に入った色を配色することで遊び心もプラス。
キッチンと同様にタイルを使用。全体的な統一感を演出すると同時に、気に入った色を配色することで遊び心もプラス。

 

日中は働きに出る奥様のために、物干しスペースは屋内に確保。高くとった窓から充分に通気と採光することで、乾きもばっちり。
日中は働きに出る奥様のために、物干しスペースは屋内に確保。高くとった窓から充分に通気と採光することで、乾きもばっちり。

 

吹き抜けの階段を登ると広々とした廊下へ。現在は奥様のミシン台が置かれている。将来的にはプレイルームや書斎などいろんな用途して利用できそうな空間。
吹き抜けの階段を登ると広々とした廊下へ。現在は奥様のミシン台が置かれている。将来的にはプレイルームや書斎などいろんな用途して利用できそうな空間。

 

Nさんの夢を叶えた建築家/建築家・鳥羽知夫

toba.

設計コンセプト

「Nさんから頂いた要望の中で印象的だったのは「真新しいというよりは既に住んでいる感じの家」というのがありました。家に合わせた暮らし方を提案するのではなく、自分達の暮らしがそのまますっぽりと入る『器造り』をいつも心掛けています。住み始めてからも、どこか馴染んだ感じで暮らせる為に、今回の藍住のいえでもNさんには大いに設計に参加して頂きました。おかげで、諸条件をまとめるだけでは得られない『住み手らしさ』をうまく取り入れることが出来たように思います」

建築データ

■家族構成

施主、妻、子ども2人

■構造

木造

■工法

在来工法

■敷地面積

330.59㎡(約100.1坪)

■延床面積

合計 143.59㎡(約43.5坪)

1階 90.25㎡(約27.3坪)

2階 53.34㎡(約16.1坪)

■スケジュール

設計期間 2011年11月~2012年11月

工事期間 2012年12月~2013年7月

■設計監理

鳥羽知夫建築設計事務所

■施工

島出建築事務所

 

 

N邸間取り
1.玄関ホール
2.下足収納
3.駐輪場
4.和室
5.リビング・ダイニング
6.キッチン
7.トイレ
8.洗面・脱衣室
9.屋内洗濯干し場
10.風呂
11.デッキ
12.廊下
13.クローゼット
14.子供室
15.主寝室

 

N邸間取り/1.玄関ホール 2.下足収納 3.駐輪場 4.和室 5.リビング・ダイニング 6.キッチン 7.トイレ 8.洗面・脱衣室 9.屋内洗濯干し場 10.風呂 11.デッキ 12.廊下 13.クローゼット 14.子供室 15.主寝室
N邸間取り/1.玄関ホール 2.下足収納 3.駐輪場 4.和室 5.リビング・ダイニング 6.キッチン 7.トイレ 8.洗面・脱衣室 9.屋内洗濯干し場 10.風呂 11.デッキ 12.廊下 13.クローゼット 14.子供室 15.主寝室