建てようネット[徳島]で建てた家

建築家と素敵な家づくり

祝 122棟目 O邸『2013 11 o住宅』


祝 122棟目 建てようネットで建てた家

建築家・久住高弘+井上建設

 

徳島市・O邸

2013 11 o住宅

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敷地の北側に居宅棟、南側に倉庫棟を配置。シマトネリコの木をシンボルツリーとした中庭が、双方をゆるやかにつなげている。夜、室内に明かりを灯すと外部からの視線が気になりがちだが、南に向けて緩やかな勾配になっていることや、倉庫棟を正面に配置することによって、上手く外からの視線を遮っている。

敷地の北側に居宅棟、南側に倉庫棟を配置。シマトネリコの木をシンボルツリーとした中庭が、双方をゆるやかにつなげている。夜、室内に明かりを灯すと外部からの視線が気になりがちだが、南に向けて緩やかな勾配になっていることや、倉庫棟を正面に配置することによって、上手く外からの視線を遮っている。

空間、そして明かりも必要最小限として、

凛とした暮らしを提案する「O住宅」

理想の平屋建てを設計してくれるのは久住さん。そう心に決めていた

 家づくりを考え始めた時点で平屋建てにすることが念頭にあったというOさん。そうして、当初は住宅展示場やハウスメーカーを回ったそうですが、「ハウスメーカーでは取り扱っている平屋の数が少なく、イメージと合うものがありませんでしたし、例えば『ドアの色を別の色に変えられますか?』と聞いても難しかったり。ドアひとつ変えられないんだったら、これからも細かな点でいろんな制約が出てくるんだろうなと思って、自由で、理想通りに設計してくださる建築家を探すために『建てようネット』でお願いしようと思ったんです」(ご主人)。

 『建てようネット』にいらした際にはすでに、雑誌やインターネットから情報を得て、久住さんに依頼することを8割方、心に決めていたようで、面談からご契約へとスムーズに進行。「設計もスムーズに進みすぎて、逆に怖かったくらいですが(笑)」と、久住さんは当時の思い出を語ってくださいましたが、Oさんの頭の中に明確なイメージができていたこと、感性の部分でOさんと久住さんとが共感しあえていたことなども、スムーズな進行の一助となっていたようです。

倉庫棟を持つ平屋建ての住まいは、立地を考えると必然だった

 Oさんの頭の中にあった明確なイメージとは、平屋建てで広いLDKがあること、中庭も含めて一体感を感じられること、北欧テイストとすること。その理想を満たすためにまずは大枠を決める必要があるのですが、O住宅ではそれが必然のように決定しました。というのも、敷地の北側には母屋があり、母屋の採光性を考えなければならなかったのです。また、南側には月極の駐車場が、道路を挟んではマンションがあり、そこからの視線を遮り、なおかつ自邸の採光も確保しなければなりませんでした。それらの条件を満たすことを考えると、コートハウス的な要素のある高さ2mの倉庫棟を持ち、居宅棟を平屋としたのは言わば必然だったとも言えるでしょう。

“その場所に建てる”という意味を咀嚼した上での設計

 さて間取りはというと、Oさん自身「必要最小限」と言うように、無駄がなく、非常にコンパクトです。それは、「客間や仏間、共用の和室といった要素は、母屋が隣接しているため不要」という結論からであり、母屋の隣接地に建てるというメリットと言えるでしょう。

 「平屋にすることで家族が一体感を感じられる、けれどもそれぞれのプライバシーは尊重しなければということで、リビングを挟んで各部屋を分けるというプランに。倉庫棟を分棟として、住まいともつながりを持たせて・・・というのはある意味、贅沢な造りかもしれませんが、土地の広さや母屋との関係性もしっかりと活かすことができたと思います」(久住さん)。

久住さんならではの住まい方の提案が、日常生活での良い刺激に

 さて、もうひとつの強調点が「北欧スタイル」。もともと北欧のインテリアに興味があったというご主人は、その点の造詣が深い久住さんとの“インテリア談義”がとても楽しかったそう。また、生活シーンにおける照明の使い分けなど、建築家ならではの目線での思考が、Oさんにとって大きな刺激となったようです。

 「コンパクトな間取りだけでなく、家具について、また灯りについてのアドバイスもいただけて、本当に勉強になりました。必要最小限の間取りで、凛とした空気感を感じられる空間で、これからどうやって暮らしていくか。それを考えながらの毎日がとても楽しい。これからも久住さんにいろいろ教わりたいです(笑)」(ご主人)。

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北欧家具が凛とした雰囲気を演出するLDK。日中は自然の太陽光を十分に採り込み、夜は最低限の明かりで過ごす。「外のブラケットを室内に向けて照らして、あとはペンダントライトだけで十分。思いっきり暗くすると、本当に落ち着いた空間になるんですよ」(久住さん)。

北欧家具が凛とした雰囲気を演出するLDK。日中は自然の太陽光を十分に採り込み、夜は最低限の明かりで過ごす。「外のブラケットを室内に向けて照らして、あとはペンダントライトだけで十分。思いっきり暗くすると、本当に落ち着いた空間になるんですよ」(久住さん)。

南西方向から見る。一見、コの字型に見えるが、居宅棟と倉庫棟とは分けられており、中庭とアプローチとでゆるやかにつながっている。

南西方向から見る。一見、コの字型に見えるが、居宅棟と倉庫棟とは分けられており、中庭とアプローチとでゆるやかにつながっている。

倉庫棟は約6坪と、広さ・利便性は十分。外部からの目隠しのために配置したものだが、居宅棟への通風を考えて一部の壁面をスリット状にしている。

倉庫棟は約6坪と、広さ・利便性は十分。外部からの目隠しのために配置したものだが、居宅棟への通風を考えて一部の壁面をスリット状にしている。

南側から見るとこの通り、室内を見ることはまったくできない。高さ、そして明るさの違いによって、外部の視線を完全にシャットアウトすることを可能にしている。

南側から見るとこの通り、室内を見ることはまったくできない。高さ、そして明るさの違いによって、外部の視線を完全にシャットアウトすることを可能にしている。

キッチンは広く室内を見渡せる、いわば奥様の聖地。写真右奥へ進むと洗濯スペースとなっており、スムーズな家事動線も確保している。

キッチンは広く室内を見渡せる、いわば奥様の聖地。写真右奥へ進むと洗濯スペースとなっており、スムーズな家事動線も確保している。

夜になり室内に明かりを灯すと、浮き上がるように印象的な風景に。外部の視線が気にならなくもないが「見られているかも・・・という緊張感の中で過ごすのも良いものですよ」(久住さん)。

夜になり室内に明かりを灯すと、浮き上がるように印象的な風景に。外部の視線が気にならなくもないが「見られているかも・・・という緊張感の中で過ごすのも良いものですよ」(久住さん)。

中庭にはブラケットがあり、室内を照らせるように。窓にはバーチカルブラインド(縦型のブラインド)を設置しており、室内に入る光を加減できるようになっている。

中庭にはブラケットがあり、室内を照らせるように。窓にはバーチカルブラインド(縦型のブラインド)を設置しており、室内に入る光を加減できるようになっている。

 

Oさんの夢を叶えた建築家/建築家・久住高弘

kusumi顔写真

設計コンセプト

「母屋の南東に敷地は隣接し、敷地の南東には月極駐車場が隣接する。そしてそれらは南西の私道に沿って、緩やかに下り勾配で連続している。そこで、住居棟を平屋にし、母屋の住環境(採光・プライバシー)を確保する。また、月極駐車場と相互の関係を配慮した高さ2メートル余りの倉庫棟は、o住宅の良好な住環境を確保する」

建築データ

■家族構成

施主(39歳)、妻(35歳)、子供2人(5歳、0歳)

■構造

木造

■工法

在来軸組構法

■敷地面積

296.98㎡(約89.84坪)

■延床面積

合計 123.33㎡(約37.3坪)

1階 103.48㎡(約31.3坪)

車庫 19.85㎡(約6.0坪)

■スケジュール

設計期間 2012年9月~2013年2月

工事期間 2013年5月~2013年11月

■設計監理

久住建築設計事務所

■施工

井上建設

11月号平面図画像

O邸間取り

 

1 子供室

2 LDK

3 寝室

4 ランドリー

5 クローゼット

6 倉庫