建築家と素敵な家づくり
ご主人の実家の敷地内に新築することを決意したAご夫婦。隣接する母屋を合わせると、同じ敷地内に4世代が暮らすことになる。それぞれが納得し、今まで以上に豊かに暮らせる方法はあるのか。その解を探していたご夫婦が辿り着いたのが「建てようネット」だった。家づくりのパートナーとして指名を受けた建築家の中野さんは、その出会いを次のように振り返る。
「母屋との関係性や同じ敷地に7台以上の駐車スペースを確保するなど、クリアすべき物理的課題が多くありました。もちろん祖父やご両親、ご夫婦、お子さまなど、それぞれの想いも反映しなければいけない。難しいパズルを目の前に置かれたような感じでしたね」。
最初に提示したプランは、1階部分を駐車場や倉庫として活用し、生活の中心となるスペースを2階に集約させるというもの。予算の都合によって多少コンパクトな仕様となったが、初期アイデアのほとんどが採用されることとなった。
「最初に設計図を見せてもらった時は、本当にビックリしましたね。生活の中心となるリビングだけでなく、中庭のようなものまで2階にあるんですから」とご主人は嬉しそうに話す。
ご主人が「中庭のような」と表現したスペースを、中野さんは「細長コート」と名付けた。2階の中心部に、長方形の屋外スペースを設けたのだ。太陽の光はガラスの壁を通り抜け、家中に明るい光を届けている。
「中庭のように広いと家の内と外が分離しがちになりますが、細長にすることで、室内に外部を取り込むことが可能になります」。
細長コートを周遊するような形で、ダイニングキッチンや水回り、寝室などを配置。ユニークなのが、西側通路の壁をすべて収納スペースとしたことだ。寝室からバスルームへの動線となる通路に「収納」という機能を付け加えることで、単なる廊下ではなく、モノを詰め込むだけの部屋でもない「複合的な空間」が生まれた。
「とにかく明るい家に住みたかった私の夢を見事に叶えてくれました。どこにいても子どもの姿を確認することができるので、友人たちが遊びに来た時も、ゆっくりとお茶を飲みながら見守ることができます」と奥さまも大満足。
降り注ぐ太陽の光に包まれながら、コンパクトなリビングでゆっくりと家族と時を過ごす。一人の建築家との出会いで、家づくりはこれほどまでに豊かなものになるのだ。
建築データ
■家族構成 施主、妻、子供2人
■構造 鉄骨2階建て
■敷地面積 225.97㎡(約68.4坪)
■延床面積 合計178.31㎡(約54.0坪)/1階44.45㎡(約13.4坪)、2階84.58㎡(約25.6坪)、車庫49.28㎡(約14.9坪)
■スケジュール 設計期間2012年10月~2013年8月
施工期間2013年9月~2014年5月
■設計・監理 ナカノジロウ建築デザイン事務所
■施工 アップルハウス
[A邸間取り]
1. ENTRANCE
2. HALL
3. ROOM3
4. SOKO
5. BATH
6. DATSUI
7. HALL
8. WC
9. LDK
10. COAT
11. ROOM1
12. ROOM2
13. VERANDA
Aさんの夢を叶えた建築家
[建築家]中野次郎さん
設計コンセプト
「プライバシーを保ちつつ、気候や気象の移り変わりを日常生活に組み込む細長コート。中庭と呼ぶほど広がりを設けないことにより、室内に外部を取り込む感覚を生み出すことを目指した。ダイニングキッチン、細長コート、クローゼット回廊が川の字に並ぶ。その端部に寝室、反対側の端部に水周りという明解な間取りが、施主のリクエストするシンプルな暮らし方を表現する」