建築家と素敵な家づくり
子どもたちの成長によってマンションが手狭になり、新築を決意した施主。長い間、空き家となっていた実家の建て替えを行うにあたり、クリアすべき課題は山積していた。
「商業施設が建ち並ぶ市街地なので、いかにしてプライバシーを確保しながら心地良い空間を生み出すかを考える必要がありました」とご主人。以前から建築に興味を持っていたこともあり、家族とともに「建てようネット」に足を運んだのが家づくりのスタートだった。
「建てようネットのライブラリーでは、ホームページや雑誌にはない物件や情報をたくさん見ることができました。実は当初から久住さんにお願いする方向で気持ちが固まっていたのですが、担当者の方から『念のため、いろんな建築家に会ってから決めた方がいいですよ』とアドバイスをいただいて。結局は久住さんにお願いすることになりましたが、いろんなタイプの建築家とお話をさせていただいたことで、悔い無く家づくりに専念することができました」。
実際の家づくりでは、施主の要望を一つずつ丁寧に聞き取りながら、間取りやデザインを決定。「要望を議事録としてまとめていただき、それをもとに打ち合わせを繰り返したので、頭の中は常に整理された状態でした」と奥さまは話す。
周囲のビルや国道を走る車からの視線や騒音を防ぐため、外観にはコンクリート打ちっ放しの壁や耐熱強化ペアガラスを採用。高いビルが立つ東側には一切の窓を設けず、中庭やハイサイドライトによる採光計画を行った。間口が7メートル弱という縦長の敷地にも関わらず、屋内は柔らかな光で満たされている。
「ご主人の希望でもあった中庭を家の中央に配置し、リビングや寝室、客間などに光や風を取り込みました。LDKを2階に配置したのも、中庭の豊かな環境を最大限に活かすためです」と久住さん。夜になると各部屋の明かりが中庭を通じてつながり、家族の気配をダイレクトに感じることができる。
また、キッチンの壁に設けたスリット窓からは、眉山の緑豊かな風景を取り込んだ。ビルが立ち並ぶ市街地にありながらも、唯一、視界が抜ける方向に窓を設置したことで、暮らしの豊かさを飛躍的に高めている。
さらに、ダウンライトやフロアスタンド、ペンダント照明などを駆使した絶妙な照度のコントロールも久住さんの得意分野の一つ。北欧のような落ち着きのある明るさを各部屋に採用することで、リゾートホテルのような非日常の豊かさを日常に取り込んでいる。市街地の喧噪の中でも、安らぎに満ちた暮らしは実現できるのだ。
Kさんの夢を叶えた建築家 久住高弘
[建築家] 久住高弘
1954年生まれ、血液型A型、蟹座。修成建設専門学校卒。久住建築設計事務所入所、1996年から代表取締役。一級建築士。
設計コンセプト
「市街地で外部に閉じながら、中庭と4つのハイサイドライトで暮らす。外部とは耐震に優れたコンクリート壁で、また窓は耐熱強化ペアガラスで閉じる。中庭は東西28.4mの中央に設けられ、それを居室、階段室ホールが取り囲む。LDKは中庭に面し、大面積のハイサイドライトと唯一外部に開けた横長窓が内部空間を演出する」
建築データ
■構造 鉄筋コンクリート造
■工法 壁式工法
■敷地面積 354.37㎡(約107.19坪)
■延床面積 合計255.35㎡(約77.24坪)
1階120.02㎡(約36.30坪)
2階135.33㎡(約40.94坪)
■スケジュール 設計期間2015年8月~2016年4月
施工期間2016年4月~2017年3月
■設計監理 久住建築設計事務所
■施工 司工務店
K邸間取り