» 2019/08/04/
建築家
住宅[徳島市・U邸]
典型的・・・と言うと語弊があるかもしれませんが、Uさんご夫妻がリフォームを考えたのは、“室内を明るく”“耐震性を確保”“省エネ化”といった希望が重なったことがきっかけでした。こうしたご希望を受けて、さらなる価値づくりとして中村さんが提案したのは、“セカンドステージを充実させる住まいへのリフォーム”ということ。つまり、個々の要望を満たした上で、今後の住まい方に付加する提案をしたのです。
「最初に建ててくれたのは一般の工務店だったんですが、細かなところでやっぱり気になる点があって。次に何かをお願いするのであれば建築家に・・・という想いは、頭の中にありました。実際にこうしてリフォームを手がけてもらって、暮らし方まで提案してくれるというのが、建築家に依頼する一番の価値なのかな、と思いましたね」(ご主人)。
セカンドライフの充実という点では、安全性の確保が重要な課題でした。そこで、バリアフリーを基本とした考えのもと、手すりの設置や室内の段差をなるべくなくすなど、安全第一に。とはいえ、現在はご夫婦ともにお元気なので、無意識に体を動かせるように、階段位置を室内中央に配置するなど、日常生活で体を動かす機会を確保する、という想いが込められています。
もちろん、耐震性も確保。耐震壁を増やして補強しつつ、不要な2階の部屋を減築し、光と風が通るように吹き抜けとしたリビングには柱に加えて角材の筋交いを入れるなど、緻密な設計がなされています。
個別に見ていくと、いの一番に目に留まるのがガラスサンルームです。約6畳もの広さのサンルームはとにかく温かく、冬場でも晴れた日であれば夕方前くらいまでは暖房要らずで過ごせるそう。「お日様の有難さを感じますよね」と奥様も言う通り、本を読んだり、庭の植栽を眺めながら音楽を聞いたり、また毎日ランチを楽しんだり・・・と、自由に過ごせる温かな空間を生み出しました。
「以前のサンルームも、1畳半ほどの適度な狭さでいつも音楽がかかっていて・・・と気持ちの良い空間だったんですが、いかんせん開放感がなかったのが難点でした。そこで、外部の緑も風景として取り込めるように大開放にして、ご夫婦それぞれが思い思いに過ごせるような空間にするということを意識しました」(中村さん)。
ご夫婦それぞれにご友人も多く、今ではサンルームの方から入ってきて、そこで他愛もない会話に花を咲かせることもあるとか。パブリックなスペースとしても多くの人に愛される家となったのは、このサンルームのおかげでしょう。
「希望通り、いや希望以上の家にしてくださいました。友人とのつながりはもちろんですが、自立して家を出て行った子どもたちが、この家に帰ってくるのを楽しみにしてくれている。一人でいても、夫婦でいても、家族が集っても、どんな時でも、心地良く過ごせる家にしてくださって、本当に嬉しいです。これからもっと長生きしなきゃ(笑)」(奥様)。
Uさんの夢を叶えた建築家
設計コンセプト
「一言で言うと、退職後のセカンドステージを楽しめるご夫婦の家。ご夫婦それぞれが住まいの中で憩え安らげる場、活動の場、共に食べ語り合えたり、友人達が寄れるコミュニケーションの場などを創出。目玉は6帖のガラスサンルーム。冬でも暖房不要で庭を見ながらの読書・音楽・コーヒータイム・食事・友人との交流など多様な活用が楽しみ」
設計のこだわり、苦労したところ
「建築工事は新築であれリフォームであれ、苦労は付き物ですが、施主には出来るだけ、計画段階から工事完了まで、家造りを楽しんでいただけるよう、わかりやすい計画案をご提示・説明するように心がけています。また現場での定例打ち合わせを大切にし、施主自身が住まいづくりに自ら取り組んだ感を抱いていただけるよう心がけています。今回のリフォームにより、県外や海外にいる息子さん達ご家族が帰ってきた時の驚きや、また帰って来たくなるような、きっかけとなることを願っています」
■家族構成
施主(69歳)、妻(66歳)
■構造・工法
木造、在来工法
■敷地面積
200.2m2(約60.6坪)
■延床面積
合計 107.58m2(約32.6坪)
1階 71.09m2(約21.5坪)
2階 36.49m2(約11.1坪)
■スケジュール 設計期間
2012年12月~2013年6月
■工事期間
2013年7月~2013年11月
■設計監理
M&N都市建築設計事務所
■施工
アークホーム


1 菜園・花壇
2 駐車場
3 ポーチ
4 玄関
5 ホール
6 談話室
7 サンルーム
8 和室6帖
9 居間
10 食堂
11 台所
12 洗面・脱衣
13 UB
14 トイレ
15 和室6帖
16 書斎
17 洋間A
18 物干場
19 物干