» 2019/05/27/
一般的に「平家」といえば、2階建ての住宅よりも予算が高額になるといわれている。理想どおりの家を建てたいと考える施主にとって、もっとも悩ましい問題の一つが費用だろう。しかし、「総合的に考えていくと、平家は決して高いものではないんですよ」と久住さんは静かに言葉を紡ぐ。
「坪単価で計算すると高価に見えますが、それは数字のトリックなんです。たとえば、建築時に高い足場を組む必要がないなど、工事のコストも低めに抑えられるし、住まいとしての耐用年数も長い。多くの場合、総工費を部屋数で割れば、それほど2階建ての予算と変わらないんですよ」。
その事例の一つが、阿南市の田園地帯に建つK邸である。30代の若い施主のために久住さんが設計した平家は、玄関の左右に部屋を配置する大胆なI型のデザインを採用。
居室がすべて南東に向かって開かれており、LDKの前面に駐輪場を兼ねたスクリーンを設置してプライバシーを確保。それが住宅全体の絶妙なアクセントになっている。
「敷地から考えると、施主から要望されたコートハウスでは、住まいとしてのボリューム感が足りず、広がりのある周辺環境ともそぐわない。I型のプランは必然でした」。
また、平家にしたことでK邸は優れた耐震性を実現。地震に対する壁倍率は4・5倍を確保しており、台風にもびくともしない強さを誇る。
今後、大切な家族や財産を守る意味からも、平家という選択肢は増えていきそうだ。
設計コンセプト
「敷地は那賀川の南岸、豊かな田園地帯の母屋に隣接する田を造成し確保された。計画は間口12 間、奥行3 間の大胆なI 型プランとする。そのことで居室全てが南東に面し、子供室と寝室からは田園風景を望む。LDK の前面には駐輪場を兼ねたスクリーンで中庭を設けた」( 久住)
建築データ
■ 家族構成 : 施主・妻・子供3人
■ 構造 : 木造
■ 工法 : 在来工法
■ 敷地面積 : 484.19m2( 約146.47坪)
■ 延床面積 : 合計 127.96m2( 約38.71坪)1階 120.36m2( 約36.41坪)
車庫 7.6m2( 約2.3坪)
■ スケジュール :
設計期間 2014年8月~2015年1月
施工期間 2015年5月~2016年1月
■ 設計監理 : 久住建築設計事務所
■ 施工 : 辻工務店
K邸間取り
① 玄関
② LDK
③ パントリー
④ 寝室
⑤ クローゼット
⑥ 子供室
⑦ WC
⑧ 洗濯室
⑨ 洗面
⑩ 浴室
⑪ 収納
⑫ 駐輪場
⑬ 中庭
【情報掲載日/2016年11月25日】
その他の平屋特集はこちらから