» 2019/05/10/
どんな家をつくる場合でも、周囲の環境を考慮し、そこに住む人の願いを叶えることを第一に考える。美馬市のO邸も、高橋さんのこうした姿勢から生み出された平家である。
「敷地は国道沿いの住宅地。交通量が多い場所に建てる家ですから、内向きに広がりをつくるべきだと考えました」。
施主へ提案したのは、広い中庭を持つコの字型の平家。2階建てにして遠くに山を望むよりも、部屋の延長に見立てた中庭を設けることで、光や風の通り道を確保しながら、身近に自然を感じられる心地良い住まいが実現した。
「知人や友人を招く機会が多い施主からは〝人が集まることができる家〞という要望がありました。中庭は第二のリビングとしても機能します」。
また、屋外と屋内のイメージが意図的に変えられている点もO邸の魅力の一つだろう。外観はガルバリウム鋼板で統一したソリッドなデザインだが、屋内は徳島県産の杉をメインにした温かさが印象的だ。
「基本的に設計は軸組から入るようにしています。棟上げ時の木組みの美しさが、そのまま暮らしやすさに直結していくのではないかと思うからです」。
徳島県産の杉に関しても、木が美しく、力強く見えなければ、住宅に使う意味はないと静かに話す高橋さん。伝統構法と在来工法を組み合わせたのも、ここで生活する人の過ごしやすさを考え抜いた上で出した結論だという。それぞれの空間の緩やかなつながりが、そっと家族の気配を感じさせる美しい平家である。
設計コンセプト
「敷地は、穴吹川に抜ける国道沿いの住宅街。敷地からは山や川といった自然は見えず、交通量の多い通りだったため、内向きに拡がりをつくろうと『コの字型』の平屋を提案する。ひとつの部屋と捉えた大きく開かれた中庭は、どの部屋にも太陽の光をおとしこみ、心地よい風の通り道になっている。また、住まい手の要望でもあった家族や知人達が集える中庭は、大きな空をつかみとり、様々な表情が味わえる楽しい食事の場をつくり、どこからも家族の気配が感じられる『繋がりある住まい』の大切な核となった」( 高橋)
建築データ
■ 家族構成 : 施主・妻・子供
■ 構造 : 木造
■ 工法 : 伝統構法 + 在来
■ 敷地面積 : 340.71m2( 約103.24坪)
■ 延床面積 : 合計 104.02m2 (約31.52坪)1階 104.02m2 (約31.52坪)
■ スケジュール :
設計期間 2013年6月~2014年1月
施工期間 2014年4月~2014年9月
■ 設計監理 : TTA+A高橋利明建築設計事務所
■ 施工 : コール
O邸間取り
① 玄関
② トイレ
③ 和室
④ LDK
⑤ 個室 1
⑥ 個室 2
⑦ 浴室
⑧ 洗面脱衣
⑨ テラス
⑩ WICL
⑪ 寝室
【情報掲載日/2016年11月25日】
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