» 2019/05/11/
こちらのO邸は、右頁の『穴吹の家』を建てた施主の親世帯のための住まいである。
「二世帯住宅に…という話も出ていたのですが、幸い敷地に余裕があったので、一棟ずつ建てた方が伸び伸びと生活できるはずだと考えました」。
子世帯と同じく平家というプランを立案したのも高橋さん。老夫婦の〝終の住処〞として、LDKと和室、夫婦それぞれの寝室という4つの空間をベースとしたシンプルな間取りとなっている。
「敷地や予算などの条件から、それほどスペースが確保できないという制限がありました。そこで廊下を極力減らし、天井を高くすることで、実際よりも空間を広く感じられるような工夫を施しています」。
家という大きな箱の中に小さな箱である居室が組み込まれた構造を持つ『穴吹の家Ⅱ』。暮らしの中心となるLDKから家庭菜園を望むことができたり、日向ぼっこやご近所さんとの会話を楽しめるように縁側を設けたのも、高橋さんのアイディアである。
「誰が住んでも心地良い空間をつくる。それが長く住み続けてもらうためには大切な要素になると信じています」。
同じ敷地の中で親世帯と子世帯の住まいを分けておけば、よりフレキシブルな使い方が将来的にも可能になるのではと高橋さんは考えている。
「母屋に対する〝離れ〞として使っても面白いと思いますし、誰かに貸すこともできるでしょう。二世帯住宅よりも自由度は高くなるはずです」。
これもまた、平家の持つ可能性の一つだといえるだろう。
設計コンセプト
「敷地は、穴吹川に抜ける国道沿いの住宅街。子育てを終えた夫婦二人暮らしの終の棲家。老後の事を考え、シンプルな動線の平屋を提案する。敷地や予算の条件から、あまり家を大きくできないという制限があったが、廊下を極力減らし、高い天井高を採用するなどして、各居室をひろく感じられるよう工夫を施した。ご近所さんと話すこと、家庭菜園が趣味である住まい手のために菜園が見えるダイニング・キッチンと縁側スペースを設けた『老後を楽しむ住まい』」( 高橋)
建築データ
■ 家族構成 : 施主・妻
■ 構造 : 木造
■ 工法 : 木造枠組壁構法
■ 敷地面積 : 369.85m2( 約112.07坪)
■ 延床面積 : 合計77.16m2( 約23.38坪)1階 77.16m2( 約23.38坪)
■ スケジュール :
設計期間 2013年6月~2014年2月
施工期間 2014年4月~2014年9月
■ 設計監理 : TTA+A
高橋利明建築設計事務所
■ 施工 : コール
O邸間取り
① 玄関
② トイレ
③ 洗面脱衣
④ 浴室
⑤ WICL
⑥ 寝室 1
⑦ 寝室 2
⑧ CL
⑨ 押入れ
⑩ 収納
⑪ LDK
⑫ 和室
⑬ 床の間
⑭ 仏間
【情報掲載日/2016年11月25日】
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