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» 2017/02/25/
建築家の自邸は、クライアントというある種の制約から開放される。とはいえ、世界で一番手厳しい家族の意見をどこまで尊重し、自分らしく遊んで設計していくか・・・。今回はIKU建築設計事務所の竹内郁夫さんが自邸を完成させたので、その魅力をご紹介。また、Wrapの今瀬健太さんは、自邸ではなく、リノベーションして自分のカフェをオープンさせた。しかも、面白いのが設計事務所をカフェから一望できるように隣接させていること。今回の取材を通して、竹内郁夫さんと今瀬健太さんそれぞれの自分らしい設計を紐解いていきたい。
周辺環境にも配慮した自分たちらしい住まい
普段は人のために家づくりを行う建築家が、自分と家族のために建てるのは、どんな家なのだろう。IKU建築設計事務所の竹内さんの自邸は、2016年の11月に完成したばかりだ。
「ずっと自分たちらしい住まいをつくりたいと思っていたのですが、なかなか着手できなくて・・・。ようやく実現できました」。
最初に竹内さんが考えたのは地域との関係性だという。約40年も空き地だった分譲地に自宅を建てるため、周囲の住宅の日当たりや風通しが変わるからだ。
「隣家への影響を考え、あえて2階の一部をつくらない設計にしました。法律上、問題がなかったとしても、近所に住む人たちの気持ちを無視するような建て方は違うと思うんです」。
当たり前のように周辺環境に馴染む住まいにしたい――。そんな竹内さんの思いは設計にも反映されている。大きな赤い屋根に二つの窓、シダーシェイクの外壁、正面の土間へ直接アプローチできる引き戸。カエルのようなユーモラスなデザインの家は、きっと近所の人々や子供たちからも愛されるに違いない。
「深い軒先や広い土間があれば、そこで話もできるでしょう。これからが楽しみですね」と竹内さんは語る。それもまた、家族の豊かな暮らしのために彼が施した工夫の一つなのだろう。
プライバシーの確保と家族の時間との両立を
周辺の環境に配慮しつつ、住みやすさを犠牲にしないのが建築家の建てる家の妙味である。
大きな屋根と深い軒を持つ竹内邸だが、昼間の屋内は意外なほど明るい。吹き抜けになっている高い天井を見上げれば、天窓から青空が見え、土間の引き戸からはたっぷり光が射し込む。
「いろいろなプランを練ったのですが、やっぱり大きな屋根を持つ家が素敵だなと思って。ただ、形状や傾斜を決めるのは、なかなか大変な作業でした」。
1階は〝寛ぎの間〟と名付けられたリビングを中心に、キッチン、ユーティリティー、バスルームと主寝室が配されている。多くの場合、2階につくられるケースが一般的な主寝室だが、あえて1階に設定することで、大きな屋根を実現したという。
また、土間から階段で上がる2階には、竹内さんのオープンな事務所スペースのほか、左右対称の子供部屋がある。移動には必ず父の仕事場を通る間取りになっている点も興味深い。
「一人ひとりのプライバシーは確保しながら、家族が集まる空間は緩やかにつながる・・・。そんな空間構成を目指しました」。
照明器具や扉の取手には、今までストックしたものをふんだんに使ったと笑う竹内さん。建築家のこだわりが随所に散りばめられた心地良い住まいである。
竹内郁夫 Takeuchi ikuo
IKU建築設計事務所
プロフィール
1969年生まれ、血液型A型、さそり座。九州産業大学工学部建築学科、現場監督、丹羽建築事務
所を経て独立。二級建築士。徳島大学工学部非常勤講師。
設計コンセプト
「既存の約40年前の分譲地へ今住宅を建てるということ。地域とのつながりをどう考えるか。家族の時間と仕事の時間の考え方。環境は今考えられることでシンプルに。外観は高さを抑えつつ機能は落とさず。室内はプライバシーを確保しながら家族とつながる。外からのアプローチも工夫した」
帰る家。かえるうち。
建築データ
■家族構成 施主、妻、子ども2人
■構造 木造2階建て
■工法 在来軸組工法
■敷地面積 161.88㎡(約49.05坪)
■延床面積 合計107.49㎡(約32.42坪)
1階63.15㎡(約19.13坪)
2階44.34㎡(約13.13坪)
■スケジュール 設計期間2015年1月~2015年12月
施工期間2016年1月~2016年11月
■設計監理 IKU建築設計事務所
■施工 K-support
竹内郁夫自邸
帰る家。かえるうち。平面図
1 玄関ポーチ
2 玄関
3 ダイニング
4 キッチン
5 寛ぎの間
6 寝室
7 ユーティリティ
8 2階ホール
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