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» 2018/09/03/
事前の外構計画でコンセプトを明瞭に
季節によって表情を変える庭の風景を生活の一部としながら、子どもたちと活動的に暮らしたい。そんな希望を胸に『建てようネット』に足を運んだご夫婦。さまざまな建築家のファイルに目を通し、心を奪われたのが中村さんの仕事だった。
「自然素材のダイナミックな使い方が、とても美しいなって。実際に面談でいろいろと話をしてみて、やっぱり中村さんにお願いしたいと思いました」とご主人は振り返る。
建築デザインを行う上で重要視したのが、建物と庭が一体となった空間を創り出すこと。そのバランスを見極めるため、事前に庭師との共通認識を図ることに努めたと中村さんは話す。
「奥さまが、多様な植物の居場所を巧みに造り出す『ポール・スミザー』というイギリス出身の庭師に興味を持たれていたこともあり、腕利きの庭師をパートナーに選びました。設計前に外構計画をしっかりと練り上げておくことで、内と外が一体となった住まいを形にすることができるのです」。
ガラス張りのリビングの向こうに広がるのは、約100種類の植物が織りなす豊かな生態系。プライベートな小さな森の中を子どもたちは駆け回り、大人たちは癒される。建築家と庭師のプロ意識が、見事に融合した建築と言えるだろう。
想像をはるかに超えるナチュラル空間を実現
豊かな庭の風景を最大限に生かすため、建築デザインにもさまざまな工夫が凝らされている。1階、2階に張り巡らされたガラスもその一つ。壁面に金属の筋交いを用いることで全面にガラスを用いることが可能となり、庭の風景を余すことなく屋内へと取り込んでいる。
フローリングには優しい風合いが印象的な桜材を使用。天井には琵琶湖の葦(ヨシ)を用いるなど、多様な自然素材を巧みに使いながらナチュラルな空間を実現した。20畳のリビングは吹き抜けとなっており、明るい光が上部からも降り注ぐ。
リビングには和室も併設。小上がり式にすることで、腰を掛けたり、立ち上がりやすくなったりと、さまざまなメリットを生み出している。さらに「料理が趣味」という奥さまが選んだ立派なシステムキッチンのすぐ横には、庭に突き出すような形でサンルームを併設。天井もガラスで覆われており、まさに庭の中に佇んでいるような空間となっている。
「今は洗濯物を干す場所としても活用していますが、将来的は第2のリビングのように使えたらって。家中どこにいても本当に心地良くて、家族の気配を感じられるんです」と奥さまも笑顔。屋内と屋外の魅力が一つにつながるとき、住まいは一層の輝きを放つのだ。
Tさんの夢を叶えた建築家 中村正則
1952年生まれ、血液型O型、獅子座。法政大学工学部卒。森下建築設計事務所を経て、独立。一級建築士。建築士会バリアフリー研究会、徳島ユニバーサルデザイン研究会に所属。
設計コンセプト
「ポールスミザーの庭造りに共感している施主の要望は『ナチュラルガーデンのある家』でした。南側の庭園に面してデッキとガラス・サンルームを設け、居間・食堂・台所と一体化し、部屋の南東の隅はガラス壁にし、吹抜けも設けているので、とてもオープンで明るい住まいとなっています。玄関は落ち着いた和風に、これも施主のこだわりです」
建築データ
■家族構成 夫婦+子供2人
■構造 木造2階建て
■工法 在来木造軸組工法
■敷地面積 320.3㎡(約97.0坪)
■延床面積 合計162.0㎡(約49.1坪)
1階90.7㎡(約27.5坪)
2階71.3㎡(約21.6坪)
■スケジュール 設計期間2014年9月~2015年9月
施工期間2015年10月~2016年6月
■設計監理 M&N都市建築設計事務所
■施工 新井建設
T邸間取り
1 玄関
2 ホール
3 坪庭
4 洗面脱衣
5 和室コーナー
6 台所
7 食堂
8 居間
9 サンルーム
10 ウッドデッキ
11 庭園
12 書斎
13 プレイルーム
14 納戸
15 寝室
16 バルコニー