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» 2019/03/23/
まったくゼロの状態から、自分たちだけの理想の住まいを形作る─。それは建築家を家づくりのパートナーに選ぶ最大のメリットと言える。施主が抱く夢や希望への熱量が大きければ大きいほど、完成した住まいには個性が宿り、大きな輝きを放つことになる。
今回のキーパーソンとなったのは、以前から家づくりへの強い情熱を抱いていた奥さま。築70年以上の歴史を持つ旧家を建て替えるにあたり、細かな要望にしっかりと応えてくれる建築家との家づくりを望んだ。
「建てようネットで竹内さんをご紹介いただいたのですが、今までに手掛けられていた住宅やカフェの雰囲気にすっかり魅せられてしまって。また、家相を取り入れた家づくりの経験をお持ちだったことも、パートナーとして指名させていただくきっかけになりました」。
奥さまが、今回の家づくりにおいて欠かせない要望として掲げたのが「光、風、緑などの豊かな自然を取り込む」、「ペットも家の中で心地良く暮らす」、「多人数のゲストを招きやすい空間」の3つ。玄関や水回り、部屋などの位置が家相によって決められる中、ご家族の要望を最大限に満たしながら、心地良く暮らせる空間を提案することが、建築家の大きなミッションの一つとなった。
南北に伸びる敷地を活かすため、家族が集うLDKと、寝室や書斎などのプライベートスペースを北側と南側に分割して配置。南側に建つビルからの視線を防ぐため、LDKにトップライトを設けることで明るい光を確保した。
また、リビングの東側には庭とつながる細長い土間を設置。内と外をゆるやかにつなぐ中間領域は、愛犬たちの居場所としても存分に機能している。さらに、心地良い空間づくりに定評がある竹内さんが着目したのが、旧家に使われていた柱や建具、家具などの素材だった。
「ご主人のおじいさんが大工をされていたこともあり、家の建具や家具などを自らの手で丁寧に作られていました。家族の歴史が詰まった素材を新しい住まいにも活かしたいと思ったんです」。
真新しい浮造りのフローリングや漆喰壁、タイルなどを用いたリビングに、経年変化によって存在感を増した建材をミックスさせることで、新旧の絶妙なコントラストを生み出すことに成功している。引込戸を解放すればリビングと和室は一体化し、多くのゲストを気持ち良く迎える場へと早変わりする。「まったく新しく生まれ変わった家を見て、親せきは『昔の家に戻ってきたみたい』って言ってくれるんですよ」と奥さまは嬉しそうに笑った。
Tさんの夢を叶えた建築家 竹内郁夫
1969年生まれ、血液型A型、さそり座。九州産業大学工学部建築学科上和田研究室、現場監督、丹羽建築事務所を経て独立。二級建築士 徳島大学工学部非常勤講師。
設計コンセプト
「敷地には間口の狭いおじいさんが建てた歴史のある町屋が建っていました。木の外壁、木の窓を使用したこの建物を修繕して使うのは準防火地域にあるために無理があり、そこで使える柱、床、建具を新しい住宅で生活していて感じられるところに使用。プランもオーソドックスに真ん中でパブリックとプライベートを分けています。敷地の南側には中層ビルが建っており、建物の日当たり内部仕上げは気を遣いました。壁はドイツ漆喰、床には暑さ30mmの杉を浮造り加工しているため体感温度が違います。内部仕上げも杉を使い温かみのある部屋に仕上げました」
建築データ
■構造 木造平屋建て
■工法 木造在来工法
■敷地面積 315.18㎡(約95.28坪)
■延床面積 合計120.31㎡(約36.39坪)
1階120.31㎡(約36.39坪)
■スケジュール 設計期間2014年8月~2016年11月
施工期間2016年12月~2017年8月
■設計監理 IKU建築設計事務所
■施工 新井建設
T邸間取り
1 玄関
2 ホール
3 家族室
4 ダイニング
5 キッチン
6 駐輪場
7 納戸
8 畳の部屋
9 洗面脱衣室
10 寝室1
11 WIC
12 寝室2
13 書斎