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» 2014/03/25/

4月号特集「地球に優しい家づくり」 水の有効利用編


短期連載

地球に優しい家づくり

第3弾

[水の有効利用編]

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『地球に優しい家づくり』第3弾は、人間にとって生きるために必要不可欠な「水」についてです。日本では、蛇口をひねれば簡単に飲水が出るので、飲水にも苦労している他国と比べると有り難みが少ないように思います。今こそ、「水」を家づくりにおいてもしっかりと情報収集してもらいたいと思います。そこで、今回は「地下水利用のススメ」と「石井式合併浄化槽」について、建てようネットの登録建築家である中川俊博さんと新居照和・ヴァサンティさんに取材してきました。みなさんの共通意見として「徳島は水の環境に恵まれているので、その恩恵に十分預からないともったいない」ということです。

中川俊博

「地下水利用のススメ」

せっかく徳島に住むのだから、

豊かな地下水の利用を考えてみませんか?

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徳島で生活するなら、水を活かさない手はない!?

 みなさんもご存知の通り、徳島県は非常に水資源が豊富な県です。東に紀伊水道を望み、南東部は太平洋に面しており、中心部を流れる吉野川の恵みは、古くから県民の生活を支えてきました。特に徳島市内は、大小138もの川が流れており、中でも新町川と助任川に囲まれた通称“ひょうたん島”は、市民や観光客に愛される場所となっています。その新町川の木の遊歩道「しんまちボードウォーク」を設計した建築家の中川さんも、徳島が持つ水の力に特に注目されています。

 「徳島には、都市部みたいなオシャレなクラブは確かにないかもしれませんが、生活のベースとなる水がある。21世紀後半には世界中で水のつかみ合いになるかもしれないと言われるシビアな時代にあって、この水を使わない手はないですよね」。

 

市内でも、地下水を利用して庭に池を作ることが可能

 中川さんが設計する建築物には、水を使った例がたくさんあります。写真の『お池カフェ フルール』では、その名の通り敷地内に大きな池を配し、その風景美が心を豊かにしてくれるよう。この水、実はポンプで組み上げた地下水なんです。つまり、水道代はゼロ。ポンプを作動させるわずかな電気代だけで、この美しい風景を実現できるのですから、中川さんが言う「使わない手はない」の意味もわかります。

徳島の風土に馴染んだ、“AWAスタイル”の建築設計を提案する中川さん。だからこそ、地下水を利用する理由への言及にも力が入ります。

徳島の風土に馴染んだ、“AWAスタイル”の建築設計を提案する中川さん。だからこそ、地下水を利用する理由への言及にも力が入ります。

 「地下水利用は、徳島で生活することの大きなメリットでしょう。塩害などもありますからどこでも出るというわけではありませんが、徳島市内でも眉山のふもとや国府町あたりであれば、日常生活に使える地下水が出ます。県西部であれば、ほとんどの地域で地下水が出るでしょう。水質によっては上水利用と言って飲み水にできる場合もありますし、それがダメでもトイレを流したり、庭の草木に水をやる中水利用は可能です。豊かな庭を作りたい、庭に池を作りたい、お風呂にたくさん入りたい…など、ライフスタイルに合わせて水を活かした設計を、私は提案することが多いですね」。と、中川さんは店舗だけではなく、一般住宅にも積極的に地下水利用を勧めています。

イニシャルコストは5年で償却。家計的にも大きなメリット

 ボーリング(地面に穴を掘ること)をしてポンプと滅菌装置を設置して、イニシャルコストは50万円ほど(飲水利用をする場合、ろ過装置を設置する場合もあります。その際には追加費用が発生します)。ランニングコストとしては、滅菌装置に塩素を入れたりする程度で、大きな費用はかかりません。

 「例えば月々の水道料金が1万円かかる家庭だと、年間12万円。わずか4〜5年で償却できると考えると、コスト面でもメリットも大きいですよね。私の自宅でも地下水を利用しています。点検時などに地下水を利用できない時のために上水道も引いていますが、使うのは本当にごくたまに。年間の水道料金は1万円にも満たないくらいです。ね? 家計的にも大助かりでしょ(笑)」。

 低コストが分かった以上、トライしない手はないと思います。まずは、自分が建築予定の土地に地下水があるかどうかを調べてみましょう。

 

 

 

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中川さんの水田で使われている地下水汲み上げ用のポンプ。ご自宅も地域の地下水利用の簡易水道を利用されているそうです。

中川さんの水田で使われている地下水汲み上げ用のポンプ。ご自宅も地域の地下水利用の簡易水道を利用されているそうです。

 

■フルールのポンプ

中川さんが設計した『お池カフェ フルール』。豊かな吉野川の伏流水によって育てられている水面の睡蓮は、6月頃から美しい花を咲かせます。

中川さんが設計した『お池カフェ フルール』。豊かな吉野川の伏流水によって育てられている水面の睡蓮は、6月頃から美しい花を咲かせます。

「フルール」のポンプ。意外と小さい。

「フルール」のポンプ。意外と小さい。

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新居照和&ヴァサンティ

「石井式合併浄化槽」

合併浄化槽を設置することで得られる、2つの大きなメリットとは?

「“水に流す”ということわざがありますが、実際の生活排水では絶対にダメ!」と、ユーモアを交えてお話しいただきました。

「“水に流す”ということわざがありますが、実際の生活排水では絶対にダメ!」と、ユーモアを交えてお話しいただきました。

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各家庭が浄化槽を設置すれば、ムダな公共工事を減らせる

 

 通常、私たちが家を建てる時、生活排水を処理するためのシステムとして下水道に繋げるか、浄化槽を設置するかを選択することになります。さて、皆さんならどちらを選びますか? 「徳島の市街地以外であれば、絶対に浄化槽の設置が良い」と言うのは、建築家の新居照和さん・ヴァサンティさんご夫妻です。

 「その理由は主にコスト面と環境面の2つ。まずはコスト面からお話しすると、浄化槽を設置することで社会的なコストを減らせるのが大きなメリットです。人口密度が低いところでは、ひとつの家庭のためだけに下水道工事をするとなると、莫大な費用と時間がかかります。それが浄化槽設置であれば、各家庭での負担で済むことになります。私がお薦めする高性能な石井式合併浄化槽というものは、本体と工事費を合わせて100万円ほど。高く感じるかもしれませんが、自治体によって補助金が出ること、下水道を引くと加入料金や毎月の利用料がかかることなどを考えると、長い目で見れば高い買い物ではないと思います」。

自ら汚した水をキレイにすることを見ることで、環境保全への意識が高まる

  さて、環境面のメリットの話の前に、石井式合併浄化槽について触れておきましょう。下水処理の基準は一般的にBOD●●ppmという単位が使われます。下水道や合併浄化槽の処理基準はBOD20ppmで、これが河川や海に放出されることになります。対して石井式合併浄化槽で処理されるとBOD1ppm位に。腐った水がBOD6ppm、吉野川の水質がだいたいBOD1〜3ppmです。

 台所や洗濯機からの排水や屎尿が飲み水に近いBOD1ppmにまでなるんですからスゴイですよね。浄化した水は、身近な自然界に還すことでそこの生態系によってさらに浄化されるし、その環境が豊かになります。例えば田畑で使ったり、庭の草木にやったり、庭に池を作ったりもできます。浄化槽を設置すると、自分たちがどれだけ水を汚して生活しているかというのがわかるんですが、同時にそれがキレイになっていく様を見ることができます。周りに潤いのある魅力的な環境を作っていることがわかります。つまり、水に対して、環境保全に対して関心を持つことができる。私たちは、自然の恵みである水を享受して生きているわけですから、その素敵な自然を残していくためにも、各人が意識を高く持つべき」。

 一般的に普及している合併浄化槽より確かにコストはかかりますが、庭木への散水や浄化水を生かした緑の環境づくりができることを考えると一考の余地はあります。「合併浄化槽」にも性能の違う製品があることと微生物の力で浄化しているので、水質を良くするためにいかなる浄化槽も維持管理が大切なことを知っておいて欲しいと思います。

 

■N邸新築当時

合併浄化槽を設置した、新築当時の「石井の家」。今から20年前です。新築当時は池の水が爽快な存在感を放っていました。

合併浄化槽を設置した、新築当時の「石井の家」。今から20年前です。新築当時は池の水が爽快な存在感を放っていました。

 

■20年後の現在N邸

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「石井の家」の20年後の姿です。水面には水草が茂ると同時に、浄化槽の水を使って水やりした草木が奔放に育ち、なんとも言えない風情を醸しています。

「石井の家」の20年後の姿です。水面には水草が茂ると同時に、浄化槽の水を使って水やりした草木が奔放に育ち、なんとも言えない風情を醸しています。

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